2019/12/31 18:03
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191231-00010001-doshin-hok

秋サケやサンマなど北海道の主力魚種は今季、深刻な不漁に見舞われた。
北海道の太平洋沿岸の海水温が高めに推移した影響が大きく、親潮の勢力が極端に弱くなる特異な現象も発生。
これまでに例のない海洋環境の変化があった可能性もある。
長期的に取れる魚が入れ替わる「魚種交代」のほか、外国船の大量漁獲や資源量の先細りも絡み、漁獲量の回復は見通せない。

道内沿岸の今年の秋サケ最終漁獲量は前年比24%減の約4万5千トンとなり、41年ぶりの低水準となった。
秋サケが母川へ戻る9月、夏の高気圧で、北海道の太平洋沿岸に海面水温が平年より2〜4度高い「暖水塊」が出現し、
冷たい海を好むサケが寄りつかなかったと考えられる。
函館頭足類科学研究所の桜井泰憲所長は「暖水塊は10月に台風が三つ通過した影響で長く居座った」と説明する。

高水温に弱いサンマも不振で道内の水揚げ量(11月末)は前年同期比61%減の1万9794トン(速報値)で、
詳細な記録が残る1972年以降最低となった。
北海道区水産研究所主任研究員の黒田寛さんは太平洋側沿岸に冷水を運ぶ親潮の弱さと流量の少なさが高水温の要因と指摘。
漁期直前の7月下旬、親潮上流の千島沖の海水温は平年より6度も高かった。
黒田さんは「過去30年では見られない特異現象だ」と話す。

マイワシの豊漁とスルメイカの不漁も近年続いている。
日本近海の水温が長期的に寒冷期と温暖期を繰り返し、取れる魚種が替わる「魚種交代」が起きているとみられる。
原因は複雑で判然としないが、14年ごろからマイワシが優位となる寒冷期に入り、18年の道内漁獲量は14年比2・6倍の12万4千トンに増えた。
一方、温暖期優位のスルメイカは18年に1万6千トンと14年の4分の1以下にとどまり、今季も記録的な不漁となるのは確実。
道などは本年度から国連のデータに基づく海面水温予測を研究しており、漁期や稚魚の放流時期を見直す検討材料にする。
気候変動に対応するための資源、漁業管理のあり方を探る方針だ。

不漁魚種の回遊ルート
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