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2020年1月4日 11時15分

■懲戒免職教員は“5000人に1人”
神戸市の市立小学校で同僚をいじめた教員らの処分が物議を醸している。市教育委員会は有休を取らせて実質的に謹慎させていたが、不祥事を起こしながら有休という扱いに世論は激高。市は条例を改正し、分限処分(懲罰ではない処分)の対象を拡大。加害教員らを分限休職にして給与を差し止めるイレギュラーな対応を行った。この処分を不服とした教員の1人が、市の人事委員会に審査を請求。処分問題はまだ長引きそうだ。

労働基本権が制限されている公務員は、そのぶん身分が保障されているとされる。が、不祥事を起こした場合はその限りではない。国家公務員法や地方自治法には懲戒の規定があり、全体の奉仕者として相応しくない非行があったときなどは懲戒の対象になる。

懲戒免職になりうるのは、地方公務員である公立校教員も同じだ。阿久津正志弁護士は、「法律の立てつけで言えば、教員が民間の労働者に比べて特別に守られているわけではない。組合が守るという話も今は聞かない」という。

しかし、それは条文上の話にすぎない。2017年度に懲戒免職になった公立校教員は全国で193人。対象教員の約0.02%だ。「民間の統計がなく比較できないが、肌感覚としては民間より少ない」(阿久津氏、以下同)。

■“わいせつ教員”も再び教壇に立てる
どうして教員はクビになりにくいのか。背景にあるのは、手続きの煩雑さだ。

市町村立校の教員は市町村の職員だが、教育の機会均等のため指定都市を除く市町村の教員の給与は都道府県が負担する(県費負担教職員)。

「県費負担教職員の任命権や懲戒権は、県の教育委員会が持っています(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)。そのため問題教員を処分するときは、校長が市教育委員会に、さらに市教育委員会が県教育委員会に上げる仕組みになっています。一方、他校への転任はハードルが低く、校長や市の教育委員会の意見が通りやすい。不祥事を早く沈静化させたい校長や市教育委員会としては、懲戒より他校への転任でお茶を濁したいところでしょう」

教育委員会が適正に懲戒処分を下したとしても、安心はできない。懲戒免職=教員免許剥奪ではないからだ。

「懲戒免職で免許は失効します。しかし、失効しても未返納だったり、3年で再申請可能になるため、再び免許を取り、前歴を隠して別の都道府県で再就職する教員もいる」

懲戒免職になった教員のうち、事由がわいせつ行為だった教員は120人(17年度)。これらの教員が再び教壇に立ててしまう状況は、子を持つ親として心配だ。

教員委員会間で失効情報を共有できるよう、文部科学省が「教員免許管理システム」の改修を検討したこともあったが、予算不足で断念。抜け穴は開いたままだ。問題教師を、お咎めなしのまま教壇に立たせぬ施策が必要だ。