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「アメリカvsイラン」開戦秒読み 米軍が革命防衛隊司令官ら7人を空爆で殺害…トランプ大統領が指示 識者「いつ戦端が開かれてもおかしくない」

米軍は3日未明、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」を率いるソレイマニ司令官の車列をイラクの首都バグダッドで空爆し、同司令官ら7人を殺害した。米国防省によると、ドナルド・トランプ大統領が指示したとされる。イラン最高指導者ハメネイ師も米国への報復を警告する中、米軍は中東への3000人の派兵も決定。事態は一触即発の段階に入った。

バグダッドの国際空港近くで3日未明、ソレイマニ氏の車列が爆発、炎上した。ミサイルが撃ち込まれた車両は無残な姿をさらした。国営イラン放送は、米軍のヘリコプターによる攻撃で司令官とコッズ部隊幹部ら計10人が殺害されたと伝えた。ロイター通信によると、米当局者は無人機攻撃だったとしている。

 ソレイマニ氏は、イランの対外工作を取り仕切るコッズ部隊を率いる反米保守強硬派の代表格で、イラクやシリア、レバノンなどの秘密工作を主導。イスラム教シーア派組織に軍事顧問を送り込み、武器を供与、イランを中心として反米、反イスラエルで結集する「中東の抵抗戦線」を築き上げてきた。

 最側近を失ったイラン最高指導者のハメネイ師は「血で手を汚した犯罪者は重大な報復を受けるだろう」と声明を発表した。「報復」対象は、中東の駐留米軍の施設と兵員、同盟国イスラエルやサウジアラビアなどの権益が考えられる。

 米国防省は空爆について、「イランの攻撃計画を防ぐことが目的」と主張。昨年12月末の米国人が死傷したイラク北部でのロケット弾攻撃や、バグダッドの米大使館襲撃に司令官が関与したための「防衛行動」と説明。


 トランプ氏は3日、南部フロリダ州で記者団に、司令官が「過去20年間、中東でテロを実行してきた」と指摘、殺害は「戦争を防ぐため」の自衛措置だったと強調した。報復警告には「必要な行動は何でも取る用意がある」とけん制した。

 米国務省はイラク滞在の米国人に退去勧告を出す一方、米メディアが3日、中東に米兵約3000人の増派を報じるなど緊張が高まっている。

 これに先立つ2日、エスパー米国防長官がテレビインタビューで、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の中止撤回を示唆した北朝鮮に「抑制を強く求めたい」と自制を求めており、米国が中東情勢に傾注する姿勢をうかがわせていた。

■世良氏「第3次石油危機も」

 「いつ戦端が開かれてもおかしくない」と強調するのは、中東情勢に詳しい軍事ジャーナリストの世良光弘氏。「トランプ氏は昨年に報復を思いとどまったが、いよいよという状況だ。これまで米国の中東政策をことごとく邪魔してきたのはイラン。両国が良好な関係に向かう接点もなければ、沈静化に向かうとも思えない。原油価格が右肩上がりの中、革命防衛隊がホルムズ海峡を封鎖するとも考えられ、第3次オイルショックが訪れる危険性もある。日本にとっても経済的に打撃になる」と警鐘を鳴らす。

2020.1.4