イラン、核開発「第5段階」発表へ…司令官殺害「報復」で大幅拡大の恐れ
1/4(土) 21:03配信
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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200104-00050163-yom-int

読売新聞オンライン
 【テヘラン=水野翔太】イランは5日にも核開発拡大の「第5段階」を発表する見通しだ。米軍による精鋭軍事組織「革命防衛隊」のスレイマニ司令官殺害を受け、イランは「報復措置」として、核兵器取得に近づく大幅な拡大に踏み切る恐れがある。

 イランは昨年5月以降、米国の核合意離脱と制裁再開に対抗し、2015年の合意で制限されていた核開発を約60日ごとに進めてきた。

 ただ、その内容は制限を超える低濃縮ウランの生産再開や遠心分離器の研究加速などに抑えてきた。しかし、事態の打開は実現せず、昨年11月の「第4段階」で、米欧が危険視していた地下濃縮施設フォルドゥの稼働再開に踏み切っていた。

 日本を含む各国は、「第5段階」への移行を自制するようイランに呼びかけてきたが、スレイマニ司令官の殺害により、イランが踏みとどまる可能性は低いとみられる。イランが欧州に求めている1兆円超の経済支援も、ほど遠いのが現状だ。改革派系の主要紙アルマンは4日、「第5段階は(従来の予想より)強力なものになる」との見通しを伝えた。

 各国が懸念するのは、濃縮度20%のウラン生産の再開だ。20%ウランは、核兵器を製造できる90%ウランへの再濃縮が技術的に容易になるため、米欧やアラブ諸国の反発は必至だ。

 ◆核合意=2015年にイランと米英仏独露中の6か国が結んだ。核開発を進めていたイランに対し、米欧が科していた原油の禁輸などの経済制裁を解除する見返りに、核開発を大幅に制限する内容。外交努力の成果として国際的に評価されているが、イランを敵視するトランプ米政権は18年5月、離脱を表明し、その後、イランへの制裁を再開した。