日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告がレバノンに無断出国した事件を受け、法務省は再発防止に向けて保釈制度を見直す検討に入った。

 今回のようなケースでは、高額の保釈保証金も国外逃亡の歯止めにはならないことが明確になったためで、被告に対して全地球測位システム(GPS)を
搭載した機器の装着を義務付ける案も検討対象となる。

 森雅子法相は6日の記者会見で、GPSの活用について、「そういったことも議題の一つに入れながら、さまざまな観点から検討を進めていきたい」と
表明した。被告の逃走事件は国内でも昨年、神奈川県や大阪府内で相次いで発生。法相は同年11月の参院法務委員会で「保釈や収容に関する制度の見直しを
検討したい」と答弁しており、こうした作業を加速させる。

 簡単に取り外せないGPS機器を身体に取り付け、行動を監視する手法は米国などで導入されている。逃亡防止に一定の成果を上げているが、日本で行われた
例はないとみられる。

 法務省は今後、導入した場合の監視主体や具体的な方法、被告のプライバシー保護の在り方などについて議論。必要なら、保釈を規定している刑事訴訟法の
改正も視野に入れる。

 入国審査に比べて「緩い」との指摘がある出国審査の厳格化も課題だ。法相は会見で、出入国在留管理庁に対し出国の際の審査強化を指示したと説明、「(ゴーン被告と)同様のことができない状態にしている」と強調した。

 ただ、ゴーン被告の出国ルートやX線検査の有無などについては「捜査中であるため回答を控える」と述べるにとどめ、手続き厳格化の具体的な内容についても明言を避けた。

 ゴーン被告は8日にレバノンのベイルートで記者会見する。日本の刑事司法制度に対する批判を展開する可能性もあるが、法相は「日本の司法制度に関する
指摘と不正に出国したことは別問題」と指摘。「逃走を正当化する理由にはならない」とゴーン被告を批判した。 

時事通信

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