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人類の有史以来、もしくはそれ以前の人類が存在した当初から、昔も今も変わることなく人々は自分の意思と願いを叶えるべく祈りを捧げてきた。

 そして、それはたびたび現実のものとなり、結果として今日の人類の発展がある。

 しかし、こう言うと反論する人も出てくるだろう。「私には意思があり、希望が実現するよう毎日祈っているが、ちっとも現実化していない」と。

 では、「なぜ念じたことが現実化するのか」について略解してみよう。




 物事を成し遂げるには、努力、環境、周囲の協力や支援、人との縁、運気など、さまざまな要素がある。これは「目に見える世界」の要因である。

 だが、肝心なのは別の要素、「目に見えない世界」が重要な働きを及ぼしている点だ。

 念や思いを現実のものにするには、まず、自分自身の夢や希望を引き寄せるため、祈りに入る。それも祈りの効用や結果について一切の疑念を抱くことなく、心の底から夢や希望が実現する、と信じ込むことが肝要である。

 だが、これが簡単なようで実は案外難しい。

 なぜなら一般的に私たち人間は、5歳になるまでに身についた行動パターン、つまり考え方や習慣によって生涯動くからである。

 最新の脳科学の研究によると、私たち人類の思考の95%は、5歳までに備わった普遍的な基盤にプログラムされた潜在意識に支配され、行動しているという報告がある。

つまり、私たちが何か革新的なことを創造したとしても、そのほとんどは「大人になって新たに思考した」のではなく、どうやら「以前こう考えたことがある」「こういう失敗をしたことがある」という経験を引き出して考え、行動しているだけらしい。

 生まれてから5歳までの頃の成功や失敗の体験が、普遍的な基盤に刷り込まれ、その範囲内の思考から、目の前の困難や目標に対して「これはできそうだ」「これはできない」「これは実現するはずがない」と判定していることになる。

 実際、日々の生活を振り返ってみれば「これを見てみよう」「これをやってみよう」という選択のほとんどが、実は既に知っていること、以前やったことを私たちは選ぶ傾向にある。

 たとえば、世の中には数え切れないほど料理の種類があるが、昼食を摂る場合、行きつけの店に入り、いつものパターンとして繰り返し同じ料理を注文していないだろうか。



 すでに知っていること、すでにやったことばかりを選び行動する習性が脳の働きによるとしたら、「祈ることで夢が叶う」ということを信じ切ることは難しい。

 たとえ夢や目標があったとしても、「念じたこと叶う」という成功体験を幼少の頃から経験していなければ、夢はなかなか叶わないのだ。

 それが目標が現実化しない要因ではないか、と私は捉えている。

 真言密教は密教瑜伽(瑜伽については第1回=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58796をご覧ください)により派生する神秘の力。加持祈祷が本領の宗教である。

 加持祈祷(加持祈祷とは一般に病気・災難などをはらうために行う祈祷、または、その儀式、印を結び、真言を唱え、いくつかの象徴的器具を用いて行う=大辞泉)は密教独自の特別な威力のある祈り方で、その根幹は念を自在に操ることにある。

全文はソース元で
2020.1.8
JBpress
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58858