「日本は積極的平和主義の旗のもと、世界の平和と安定のため、いっそう貢献していかなければなりません。その明確な意思をこの節目の年にあたり、世界に向けて発信したいと思います。」(安倍晋三首相)

 これは2015年の安倍首相の年頭会見。すっごいわかりやすいわな。

 彼がなにをいってるかというと、「アメリカに請われたら、この国の国民も世界の戦争に出しますよ」といっている。でもって、「世界に向けて発信」というのは、アメリカに同調すると世界に発表しますから、と我々にいっている。

 で、2019年の年頭会見ではもっとブイブイになって、

「改定された日米安保条約は、60年後の今なお我が国の外交・安全保障政策の基軸となっています。今を生きる私たちもまた責任を果たさなければなりません。」

 といった。ひゃあ〜、あたしたちが果たさねばならん責任ってなんだよ? あたしたちの責任は税金をきちんと納めることくらいじゃないのか。いや、もっと大事な責任があるわな。たとえ、国が変な方向へ突き進もうとしても、同調圧力に負けずLove&Peaceといいつづけることだろ。歴史を考えればそうだ。

 けど、アベちゃんは違う意味でいってる。ときには、この国の人間が海外の戦争に巻き込まれて死ぬことも考えとけってことだろう。

 それは今年、2020年の年頭会見でわかった。アベちゃんはこういった。

「こうした外交努力と併せて情報収集体制を強化するため、この地域に自衛隊を派遣し、日本関係船舶の航行の安全を確保していきます。」

 あっさりと「自衛隊を派遣し」といっちゃってるよ。サクッと一線を越えてきた。余計にあたしは怖くなったわ。ものすごく冷たい感じがして。

 まあね、昨年の年末のドサクサに、自衛隊の中東派遣をサクッと閣議決定した政府だもんね。国民の命には鈍感だろう。

公開:20/01/10 06:00
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