17日で阪神大震災から25年となるのを前に、神戸市の久元喜造市長が毎日新聞のインタビューに応じた。「神戸は100%復興した」と断言し、課題として挙げてきた災害援護資金の返済や新長田駅(長田区)周辺の再開発事業も「道筋がついた」と強調。震災復興への一大プロジェクトだった神戸空港について、路線バスの一部無料化も視野に交通アクセス向上を図る考えを示した。

 久元市長は「街と人が通常の暮らしを取り戻すという状況を『復興』とするなら、かなり早い段階で復興した」と自信を見せた。

 2019年5月には、被災者に最大350万円を貸し付けた「災害援護資金」の返済免除要件を広げる災害弔慰金法改正案が成立。市は777億円を貸し付け、法改正時点で31億円が未返済だったが21億円程度を免除できる見込みだ。10億円程度が残るが「当初の額から見れば終局的解決ができた。返済してもらう努力を続ける」と話した。

 復興を目的とした再開発事業で唯一続いていた新長田駅南地区は2月にも、未買収だった一部区画を事業の対象地域から外す予定で、完了する見通しがついた。今後は「リニューアルの必要な地下通路や空間がある」として駅前を整備する考えを示した。事業の収支報告については「20年中に公表に努めたい」と述べた。

 神戸空港は19年、開港以来初めて発着回数などの規制が緩和され、増便や新規就航が実現し「『廃港』などと言われた一時に比べれば夢のようだ」と喜んだ。空港と三宮を結ぶポートライナーの混雑解消のため、市は14日、JR神戸駅前からポートアイランドにある中央市民病院への無料バスを運行する。久元市長は、朝のラッシュ時に路線バスを無料化する可能性や、港島トンネルの延伸も検討するとし、「交通の飛躍的な改善をできるだけ早くやりたい」と述べた。【反橋希美】

1/11(土) 13:27配信
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