オーストラリアの森林火災による痛ましいニュースが連日伝えられている。
その被害はオーストラリア独自の多様な生態系にまで及び、一部の種が絶滅する可能性も指摘されている。

同国では自然環境の一環として山火事が発生することがあるが、これほどまでに広範囲で大規模なものは初めてのことだ。
そしてそれは対岸の火事ではなくなりつつある。
この火災による影響は世界中に広まり、気候パターンに悪影響を及ぼす可能性があると専門家は警告している。

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■ 煙を成層圏まで吸い上げる火災積乱雲

気象現象の中でもひときわ強烈なものの一つが、巨大かつ爆発的な「火災積乱雲(pyrocumulonimbus)」というものだ。
この山火事や噴火の熱と煙によって作られる雲は、そびえる煙突のような構造をしており、雷雨と同じ暴力的な特徴を持つ。
NASAによると、この構造はまるで本物の煙突のように、煙を成層圏にまで吸い上げ、長期的な悪影響を与えるのだという。

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2018年の研究では、火災積乱雲によって大気に注入された煙は、雲が消えた後も数ヶ月そのまま残っているなど、火山噴火と同じレベルで地球の大気をかき乱していることが明らかになっている。
火災積乱雲は、炎の振る舞いを普段とは違うものにする。
たとえば、Washington Postによれば、火災のラインを飛び越えるような動きや、突然の方向転換、炎の竜巻といった「炎の極端な振る舞い」が生じるという。

さらに「エンバーアタック」という危険な現象も引き起こす。
これは燃える小枝などが舞い散り、周囲に雨のように降り注ぐ現象だ。

https://youtu.be/IzqC_8D12U0

■ 火災によって発生する大量の温室効果ガス

森林火災の影響には、こうしたはっきりとすぐ目につく直接的なものもあるが、より広範で、ときに後から現れるものもある。
オーストラリアの森林火災によって、二酸化炭素、エアロゾル、すす、微粒子汚染物質などが大量に放出された。

それらはオーストラリア南部の空ばかりではなく、ニュージーランドや南アメリカにも広がっている。
その結果、たとえばニュージーランドの空では奇妙な光るもやらしきものが目撃されている。

https://twitter.com/NASAEarth/status/1215036666857115650

世界の山火事から排出される二酸化炭素は、その年間総排出量の5〜10パーセントを占めると推定されている。
こうしたガスと世界の気温とには複雑な関係がある。
InsideClimate Newsによれば、一部のエアロゾルは日光を反射・遮蔽することから、一時的に冷却効果を発揮する一方、黒色炭素、温室効果ガス、鉛のような排出物は気温を上昇させるという。

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■ もはや対岸の火事ではない。世界中に広まる火災の煙

大規模な火災から発生した煙は数千キロも移動し、遠く離れた地域の大気を汚染する。
たとえば2018年の研究によって、カナダの山火事で発生した煙が、ヨーロッパのエアロゾル濃度を危険なほど上昇させたことが判明。
その影響は、フィリピンのピナトゥボ火山が1991年に噴火したときの20倍にも達したという。

煙が風に乗って、北極圏、アラスカやグリーンランドの山岳地帯にまで運ばれることを明らかにした研究もある。
そうしたすすは、氷床や氷河の融解を加速させる恐れがある。
オーストラリアでは先日雨が降り、火災がいくぶん和らいだようだが、天気予報によればまだまだ暑さや乾燥が続くようなので、油断することはできないだろう。

ここで述べたように、こうした大規模な火災は世界の気象パターンに影響する恐れがある。
つまり今の段階では山火事の危険が低い地域であっても、将来的に火災が発生しやすい地域になってしまう可能性もないわけではないということだ。

☆記事内容を一部引用しました。全文はソースでご覧下さい
http://karapaia.com/archives/52286620.html
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