■本当に役人が勝手に名簿を廃棄したのか? 

 菅義偉官房長官が1月10日の閣議後の記者会見で、2013〜2017年度の「桜を見る会」の招待者名簿について、公文書管理法で定められた管理簿への記録がなかったことを明らかにした。公文書管理法違反を認めたことになる。同法が定める廃棄前に必要な首相の同意手続きも取っていなかった。事実であれば杜撰(ずさん)としか言いようがない。

 しかし、どこかうさんくさい。真相はそんなに単純ではないはずだ。

 安倍政権は招待者名簿を公にしたくないから「廃棄した」とウソをつき、そのウソを通すために、罰則の軽い公文書管理法違反を認めたのではないか。そう勘ぐってしまう。もしそれが事実だとすれば、国民を侮辱している。

■午前の記者会見内容を午後に撤回するいいかげんさ

 安倍政権は次の3点について公文書管理法違反を認めた。

 (1)「管理簿」に名称、保存期間、保存期間後の取り扱いなどの記載がない
(2)「廃棄簿」に廃棄日などの記載がない
(3)廃棄前に首相の同意を得ていない

 問題の桜を見る会は、首相が主催する内閣の公的行事だ。同会をめぐっては昨秋以降、安倍晋三首相の地元有権者が多数参加していたことが明らかになり、「私物化だ」と批判されている。

 批判に対し、安倍政権は「第2次安倍政権以降の招待者名簿はすべて廃棄済み」と国会や記者会見などで答弁し、野党の再調査の求めに応じてこなかった。

 公文書管理法違反を認めた後、14日午前中の記者会見で菅氏は5年分(2013〜2017年度)の招待者名簿が残っているかどうか再調査する考えを示し、「できるだけ精査し、対応する」と話した。

 ところが、である。その日の午後になって「再調査は考えていない」と午前中の発言を撤回した。廃棄したのか、それとも残っているのか。公的行事の公文書である。安倍政権には真相をはっきりさせる責任と義務がある

■右往左往する菅氏は、なにを隠したいのか

 なぜ菅氏の説明はころころと変わったのか。9日の閣議後の記者会見でも菅氏は保存期間など名簿の取り扱いを記す行政文書の管理簿に記載していなかったことを認めたものの、法律違反については言及しなかった。

 翌10日の記者会見では「公文書管理法関連規定の内閣府の文書管理規則に違反する対応だったと考えている」とはっきりと認め、その代わりに「事務的な記載漏れだった」と説明して逃げた。

 これほど右往左往する菅氏の対応を見ていると、何かが隠されているのではないかと疑ってしまう。

■説明を聞くほど分からなくなる「破綻した説明」

 毎日新聞の1月15日付の社説は「『桜を見る会』の名簿 政府説明は破綻している」との見出しを掲げ、こう書き出す。

 「安倍晋三首相主催の『桜を見る会』を巡って新たな問題点が次々に浮上している。政府が釈明するほど矛盾が広がる状態が依然として続いており、もはやその説明は破綻を来していると言っていい」

 「広がる矛盾」に「破綻した説明」。沙鴎一歩も同感である。問題の招待者名簿はまだ存在しているのか。存在しないのか。菅氏や安倍首相の説明を聞くほど分からなくなり、腹立たしくなる。

 毎日社説は公文書管理法違反の問題について「内閣府は、安倍首相の再登板後、2017年度までの5年間、招待者名簿は文書の管理簿に記載せず、廃棄した記録も残してこなかったという。これは政府が自ら定めた公文書管理のルールに明らかに反する」と説明した後、こう主張する。

全文はソース元で
1/17(金) 19:15配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200117-00032333-president-pol