0001首都圏の虎 ★
2020/01/18(土) 22:02:59.43ID:wusspm/P9日本は超高齢社会となっており、そこでは認知症は65歳以上の5人に1人と身近な存在だ。
私も脳の疾患を専門にする脳神経内科医として、認知症の患者さんと向き合うことも多い。
外来では、軽い認知症や軽度認知障害(MCI)ならご本人、あるいは付き添っているご家族の方から、「認知症の新薬のニュースを見ましたが、使えないのですか?」と尋ねられることがある。
その一つに「アデュカヌマブ」がある。
これは、昨年(2019年)、エーザイがバイオジェン社とともに臨床試験していた早期の認知症(アルツハイマー病)の症状悪化を抑制する薬剤だ。
10月22日に、米国で新薬申請する予定と発表して大きなニュースとなった。
それ以降も、国際学会などでは新薬アデュカヌマブ関連の発表が相次いで行われ、たびたびマスメディアに登場した。
アルツハイマー病の原因とされるアミロイドベータ(Aβ)という物質を脳から取り除くことで認知症を改善させる根本治療薬との触れ込みだ。
この発表(10月22日)を受け5000円台だったエーザイの株価は数日で8000円台に跳ね上がっている。
ただ、株価チャートをよくみると3月には9000円台から6000円台に急落しているのが、元に戻ったとわかる。
この急落は、同じアデュカヌマブについて臨床試験で有効性が認められないため研究開発を中止するとの発表(3月21日)の結果だ。
一つの薬剤が市場に出るかどうか――それどころか、それ以前の段階で新薬として申請する予定があるかどうかの発表だけ――で投資家が一喜一憂するわけだ。
認知症の新薬は待ち望まれている。
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無益から有望への大逆転劇
だが、3月に中止すると発表した薬剤を10月に有望として発表したことには、私も首をかしげたし、多くの研究者がハテナと思ったようだ。
薬の投与量の多かった人だけ選び出した分析は恣意的ではないか、その場合は副作用(脳浮腫)の存在で新薬とニセ薬がバレていたのではないか、などとの疑問も出されている(Schneider (Dec. 3, 2019) Lancet Neurol)。
この経緯をたどると、画期的新薬の科学的「エビデンス」というものの現代での使われ方の限界が見えてくる。
アデュカヌマブはAβに対するモノクローナル抗体として開発された薬剤だ。
2012〜2014年に行われた臨床試験(165人の患者さんを対象)では、安全性が高く、脳内のAβを除去し、認知症症状を改善させる有望な新薬候補と見なされた(Sevigny et al (2016) Nature 537:50-6.)。
この研究はとても優れたもので当時大きな話題となった。
そこで2015年8月と9月から、ENGAGE試験とEMERGE試験として、軽度で早期のアルツハイマー病患者を対象とした二つの臨床試験(それぞれ1350人の予定)をスタートしたのだ。
始まって1年半経過した2017年には、1350人では有効性を十分に判断できないとして、参加する予定患者数を1650人に増やしている。
この辺りから少し旗色が悪い。
そして、2018年末に二つの臨床試験を合計しての患者数が1748人に達した時点で、中間段階評価(無益性試験)を行った。
その結果がよくなかったため中止の決断に至ったのが2019年3月のことだ。
ところが、2018年末から2019年3月の中止までの期間で、合わせて臨床試験を終えた患者数が318名増えた。
その人数を繰り入れて解析をやり直すとやはり有望だとの結果が出たため、投資家向けに10月22日にリリースされたとの経過だ。
全文はソース元で
1/18(土) 11:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200118-00069804-gendaibiz-sctch