週末政治

静岡県熱海市で開かれていた共産党の第28回党大会は18日、志位和夫委員長や小池晃書記局長らの続投を了承し、閉幕した。女性初の政策委員長として「桜を見る会」の疑惑追及で注目された田村智子参院議員を充てるなど“変化”も打ち出したが、日米安全保障条約の廃棄など従来の路線は堅持したままだ。頼みをつなぐ野党共闘の行方は不確かで、党勢回復の道のりは険しい。

 志位氏は平成12年の委員長就任から20年がたち、政党のトップとしては異例の長さとなった。大会後の記者会見では「気づいてみたらこのような年月がたっているが、皆さんから引き続き『やれ』という判断をいただいたので、頑張るだけだ」と強調した。

 党の方針や運営に決定権を持つ中央委員の中から選ばれる党の最高指導部(常任幹部会)のメンバーも発表された。若手から吉良佳子、山添拓両参院議員らが新任される一方、89歳の不破哲三前議長も再任された。

 現在の「2004年綱領」の一部改定では「いくつかの大国で強まっている大国主義・覇権主義は、世界の平和と進歩への逆流となっている」と中国を批判する内容を盛り込んだ。一党独裁の中国共産党と「同一視」されている現状を打破し、他の野党に“現実路線への転換”をアピールする狙いもあるとみられる。

 大会決議では、次期衆院選で「野党連合政権に道を開く」と表明し、共通政策の策定、小選挙区での選挙協力を活動目標に掲げた。

 ただ、綱領は日米安全保障条約に関して「廃棄し、アメリカ軍とその軍事基地を撤退させる」との記述を堅持し、安全保障政策で現実的な対案を示すことはできていない。「自衛隊の解消」の文言も残る。志位氏は大会で「日米安保条約、自衛隊、天皇の制度などで独自の政策を持っているが、それを共闘に押し付けることはない」と述べたが、他党の信頼を得られるかは不透明だ。

 党員の高齢化や財政基盤の支えである機関紙「しんぶん赤旗」の読者数の減少など、2年後の結党100年に向けた課題は山積している。

https://www.sankei.com/politics/news/200118/plt2001180007-n1.html