東京五輪の暑さ対策で、国内屈指の豪雪地帯で知られる新潟県南魚沼市の雪を大会会場で使う計画が、例年にない少雪でピンチを迎えている。今冬の雪を保存して、さいたま市のサッカーとバスケットボールの会場で観客に「スノーパック」として配布することなどを計画しているが、南魚沼市の貯雪場所の積雪は17日時点でゼロ。市職員は「いつになったら雪が積もるのか」と、うらめしそうに天をあおぐ日が続いている。

計画では、さいたま市の会場付近のテント内で、観客に送風機で雪からの冷気を送るほか、雪を小分けに詰めた「スノーパック」を配布する。今冬降った雪を大会までの間、南魚沼市で保存し、会場へは保冷コンテナに雪を入れてトラックや貨物列車で運ぶ。

 市は「今後雪が積もる可能性もある。まだ諦める段階ではない」(市U&Iときめき課)として、現在は具体的な対応を決めていないが、焦りは隠せない。このまま積雪が少ない場合は、標高が高く積雪がある場所から貯雪場所に雪を移動させることも検討するが、大型トラックを使い運搬費がかさむため「できればやりたくはない」というのが本音だ。

 同課の立川一成課長は「年が明けても積雪がないのは初めて。南魚沼の雪を日本だけでなく世界に認知してもらうチャンスなので、これから雪が積もるよう空に祈るしかない」と話す。さいたま市オリンピック・パラリンピック部の担当者は「雪がなければピンチだという危機感はある。他会場にない独自の暑さ対策として期待もあり、なるべく早く雪が積もってくれれば」と話した。

 気象庁によると、今後も暖冬が続き日本海側の降雪量は少ない見通し。【井口彩】

最終更新 1月21日 09時07分
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