期間に応じて料金を支払う「サブスクリプション」のサービスが広がっている。
調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏は「サブスクリプションは消費者の『迷いたくない』という悩みを解決したが、世の中はコスト意識のない買い物を提供する方向に進んでいる。
そのうち『無料配布の冷蔵庫』も登場するはずだ」という――。

■加入した時点で思考停止に陥ってしまう

定額制で映画やテレビ番組を見られる動画配信サービスに加入している人は多いと思います。好きなときに好きなだけ映画を見られる便利さを享受してしまったら、なかなか離れることができませんよね。
中でも二強と言えるのが「Amazonプライム」と「Netflix」です。この2社は競合他社との競争に勝ち、圧倒的な立場に立ったあと月会費を値上げしました(「Amazonプライム」は2019年より月会費400円から500円(税込)に。「Netflix」は2018年より月会費650円から800円(税別・スタンダードコース)に)。それでも、それほどやめる人はいませんでした。
「hulu」「U‐NEXT」など、他の配信サービスも素晴らしいのですが、人間は一度どこかに加入したら、他に乗り換える人はなかなかいません。加入した時点で思考停止してしまうからです。

■世の中は「勝手に注文する冷蔵庫」の実現に向かっている

映画などの動画サービスのみならず、買い物についても特定のサービスに登録している人は多いでしょう。たとえばAmazonは「アマゾンダッシュボタン」機能を発表しました。これは洗剤などの消耗品が切れたら、ダッシュボタンを押すだけで補充できるしくみです。スマートスピーカーに声をかけるだけで、補充発注をしてくれますので非常に便利。いろいろ考えたくない消費者にはぴったりのシステムです。
私はそのうち冷蔵庫がタダで配られる時代になると予想しています。無料冷蔵庫は無数のセンサーとともにネットにつながれ、家族の誰がなにをどの程度消費したかを把握します。このデータがネット配送の業者に共有されると、冷蔵庫のユーザーのもとには、消費したぶんの食品や飲料が補充され、自動的にネット決済が完了するしくみです。
これらは一見、ラクでムダのない買い物のように思えます。しかしコスト意識のまったくない買い方です。気づいたらとても高い値段で買い物を続けていたり、必要なくなったものまで惰性で買い続けていたりするかもしれません。冷蔵庫はあくまでも私の予想ですが、世の中はこんな冷蔵庫を実現するために動いているように私には思えます。

■サブスクリプションには3つのモデルがある

「迷いたくない」「考えたくない」「選択に時間をかけたくない」という消費者が増えると同時に、こうしたサブスクリプションサービス(毎月一定額を支払うことでサービスを受けられるシステム。「Amazonプライム」「Netflix」もこれにあたる)はますます増えると思います。

もちろん以前から定額制サービスはありました。牛乳配達もそうですし、新聞、雑誌の定期購読、DVDの借り放題サービスなどもそうでした。

こうしたサブスクリプションのモデルには3つあります。

@サブスクリプション低……毎月規定回数以上サービスを受ける場合、月額固定で払ったほうが割安になるサービス。たとえば喫茶店で月額3000円を支払うと、一食500円のモーニングが1カ月間、毎朝利用できるなど。
Aサブスクリプション中……音楽配信、動画配信サービスなど、使用回数は無制限、商品自体はどんどん新しくなりどんどん増える。常に進化するサービス。
Bサブスクリプション高……使用者の好みを分析し、オススメを提案する(貸し出す)サービス。ユーザー個々の嗜好や特性を把握することで、たとえばその人に合った衣類を毎月借り放題で貸し出すサービスなど。

■「迷いたくない」気持ちに刺さったビジネス

サブスクリプションサービスは、当初、@のようなサービスからはじまりました。しかしいまや動画、音楽配信、高級ブランドバッグから衣類、おもちゃ、おむつ、家具、家電、飲食店、食材、コンタクトレンズ、クルマ、バイクなどなど、ありとあらゆるものを扱うサービスが存在します。
そこにはモノは所有するのではなく一時利用をしたり、他人と共有したりするようになったという背景があるように思います。むかしは多くのモノをもつ人が金持ちの象徴でした。

※続きはソースで
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