※週末の政治

京都市長選告示 京都駅前で支持を訴える候補者 =19日午前、京都市下京区(永田直也撮影)
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 新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、2月2日投開票される京都市長選。争点となっているのは、観光客の急増が市民生活に影響を及ぼす「観光公害」だ。京都では観光産業が地域経済を下支えする一方、外国人観光客によるマナー問題などが深刻化。これまで“ウエルカム”だった外国人観光客の誘致抑制を全候補者が打ち出すという展開となっている。

 「観光の巨大な力が(地域)コミュニティーをつぶしてしまう。そんなことはあってはならない」

 先月、京都市内の国際会議でそう訴えたのは現職で4選を目指す門川大作氏(69)。自身が進めてきた観光振興策の転換ともいえる発言に、関係者は驚いたという。

 市の平成30年の調査では京都を訪れた外国人宿泊客数は過去最高の450万3千人。観光客全体の宿泊客数も2年連続で1500万人を超えた。市内の観光消費額も約1兆3千億円と過去最高を記録。京都経済が観光で潤っていることは間違いない。

 一方、表面化してきたのが「観光公害」だ。市バスは観光客がよく利用する路線を中心に混雑しており、外国人のマナー違反をめぐって地元住民が市に改善を求めたケースもある。清水寺の近くの土産物店の男性店長(46)は、「お客さまに変わりはないが、日本のマナーが通じない人が多いのも確か」と明かした。

 こうした動きを受け、積極的な宿泊施設誘致を進めてきた市は昨年11月、一部宿泊施設の新規参入を「お断り」する異例の宣言を実施。観光の振興からマネジメント(管理・監督)へと、方針を転換した。

 こうした現市政を批判するのが村山祥栄氏(41)と弁護士の福山和人氏(58)の2候補。より強力な抑制策が必要と主張し、マニフェストにも市バスの観光客と市民利用路線の分離など、現状より踏み込んだ対策を盛り込んだ。

 村山氏は「住むところ、働くところがないという理由で京都から若い人がどんどん流出している」とし、「原因となっているホテルの立地規制を行う」と意気込む。福山氏は「観光公害の問題で市民から悲鳴のような声があがっている」と訴え、宿泊施設の総量規制を掲げる。

 「観光公害」は交通混雑や騒音などだけではない。感染拡大が懸念されている新型コロナウイルスなど、感染症対策も課題だ。京都市下京区の会社員の女性(38)は「新型コロナウイルスのように、外国人が増えることで流行するものもある。増えすぎると目が届かなくなることは出てくるのでは」と心配そうに話した。

1/31(金) 21:17配信
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