■「耳そうじは基本的に必要ない」

「耳そうじをしないと、耳あかがたまってしまう」。だから、「耳のそうじは定期的に行うのが当たり前」と思い込んでいたが、それは実は、誤った認識。

日本耳鼻咽喉科学会の静岡県地方部会学校保健委員会が制作し、YouTubeでも公開している動画によると、「耳そうじは基本的に必要ない」のだという。

■動画:耳のそうじは本当に必要なの?(日本耳鼻咽喉科学会静岡県地方部会学校保健委員会)
https://www.youtube.com/watch?v=s4mVB6P2--s

約12分のこの動画は、耳鼻科医で静岡県地方部会学校保健委員会の植田洋委員長が、成人女性の耳の中を5カ月間観察し、古くなった鼓膜の皮膚が、耳の外側に向かってゆっくりと移動していく様子を撮影。

これが入り口付近で剥がれて耳あかとなり、耳そうじをしなくても、自然と外に排出される様子を映し出している。

■なぜ、耳そうじは基本的に必要ないのか?

ではなぜ、耳そうじは基本的に必要ないのか?

その理由を知るうえで、まず知っておきたいのが「耳あかは鼓膜が変化したもの」だということだ。

動画によると、鼓膜は皮膚でできていて、糸電話の紙みたいにピンと張っているのだが、糸電話と同じでゆるんだら音が伝わらない。

そのため、ゆるまないように真ん中から外側にゆっくりと再生していて、爪のように生え変わるのだという。

生え変わった鼓膜は、外耳道(耳の入り口から鼓膜までのS字状に曲がった管)の皮膚に変化する。

そして、数カ月かけて耳の入り口まで移動。入り口で剥がれて、耳あかになるのだという。

つまり、耳あかは、ほこりやごみではなく、鼓膜が変化したもの、ということなのだ。


■画像:耳垢ができるまで(耳の断面図)
https://www.fnn.jp/image/program/00050063HDK?n=12&;s=nc

しかも、耳あかは、押し出されて自然になくなるため、耳の中にたまらない仕組みになっている。

それゆえ、「耳そうじは基本的に必要ない」のだという。

また、「耳あかがあるから、耳がかゆくなる」、だから耳そうじをしていたが、これも誤った認識。

かゆい理由は、耳あかがあるからではなく、耳かきや綿棒、指で、耳の中を傷つけて炎症をつくるから。
耳そうじがかゆみの主な原因なのだという。

■画像:耳そうじがかゆみの主な原因
https://www.fnn.jp/image/program/00050063HDK?n=14&;s=nc

そして、こうした考え方を提唱しているのは、日本耳鼻咽喉科学会の静岡県地方部会学校保健委員会だけではなく、2017年にはアメリカ耳鼻咽喉科学会が「過剰な耳そうじはしないよう」に勧告。

アメリカの綿棒には以下のような警告文が書かれている。

「耳の穴に綿棒を入れないこと。耳の穴に入れたら傷の原因になります。もし耳をきれいにしたいなら、耳の外の表面だけをやさしく拭くこと」

今回の5カ月間観察した動画では、耳そうじをしなくても耳あかはたまらず、観察終了後に綿棒で耳そうじをしたことで、逆に耳あかをはがして奥に押し込んでしまっていることがわかった。

(続きはソース元で)

ソース: FNN.jpプライムオンライン【2020年2月1日 土曜 午後6:00】
https://www.fnn.jp/posts/00050063HDK/202002011800_FNNjpeditorsroom_HDK