0001次郎丸 ★
2020/02/12(水) 12:37:07.08ID:yGS7ayCR92020年2月12日 配信
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202002/CK2020021202100021.html
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横浜・大黒ふ頭に停泊するクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」
新型コロナウイルスによる肺炎の影響で、港に入れないクルーズ船が日本近海をさまよっている。クルーズ船は寄港先で食料や燃料を補給していく。どこにも受け入れてもらえなければ、いずれ乗客乗員の人命にかかわる事態になる。そんな状況になったらどの国が責任を負うのか。専門家に聞くと、どうやら国際的な取り決めは、ない。 (石井紀代美)
◆あちこちで寄港を拒否され…
台湾・高雄から横浜へ向かっていたクルーズ船「ウエステルダム」。寄港予定だった沖縄県・石垣島や那覇で入港を「拒否」された。乗客乗員計二千人余りの一部に新型肺炎の発症者がいたためだ。十日現在も寄港先が決まっていない。
六日に那覇を出発したクルーズ船「スーパースター・アクエリアス」は、行き先の台湾、出港した那覇から寄港を拒否される事態に陥った。結局、台湾が受け入れることになり、予定より遅れて八日に到着した。東南アジアを巡っている日本船籍のクルーズ船「ぱしふぃっくびいなす」は台湾での寄港を拒否され、長崎港へ向かっている。
横浜・大黒ふ頭に着岸している「ダイヤモンド・プリンセス」も、乗客乗員は中に留め置かれている。つらい状況だろうが、海の上をさまよっている船があることを考えると、まだましなのかもしれない。
◆食料は10日ほどで尽きる
入港させてくれる港がなければ、船はどうなるのか。あり得なさそうな事態が、日本近海で起こりそうになっている。
「豪華客船は数千人乗客乗員がいる。食料は一週間か十日間でなくなり、燃料も補給しないといけない。通常は寄港先で調達するのだが…」と、神戸大の若林伸和教授(航海システム学)は語る。
つまり、客船が洋上にさまよっていられる日数は、この程度。これより長くなると、人道上の問題になりかねない。どの国が救いの手を差し伸べる決まりになっているのか。
◆船籍や自国民の割合を考慮
外国からの船の入港には、検疫、出入国、港湾の管理で三つの役所がかかわる。入港拒否は港湾を所管する国土交通省の担当だ。問い合わせてみると…。
「明確な決まりはない。事案に応じて適切に対処するとしか言えない」
海事局外航課の長井総和課長はこう説明し、「頭の体操になってしまうが、船籍や自国民の割合で、国が対応するかどうかを考える。人命の危機が迫っていれば人道的な面から近隣国ということもあるだろう」と続けた。
ちなみに、国交省に制度上、入港拒否権はなく、「船に入港しないよう要請するとともに、実際に港湾を管理している自治体に入港を認めないよう頼んでいる」(長井課長)という。
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「ダイヤモンド・プリンセス」のバルコニー。洗濯物が干されている=7日
◆条約の想定外 国際ルールが必要
今回の事態をみると、日本政府は、日本人の比率を重視して対応を変えているようだ。ダイヤモンド・プリンセス号は乗客の半分が日本人だったのに対し、寄港拒否された二つの船では、乗客が外国人中心だったからだ。
若林氏は「ダイヤモンド・プリンセス号は、邦人保護の観点から入港が許されたのだろう」と語る。現在の扱いは「検疫法に基づく検疫が続いているという整理で乗客を留め置いている」(厚生労働省結核感染症課の加藤拓馬課長補佐)という状態だ。
若林氏は「海上のさまざまな権益を取り決める国連海洋法条約では、今回のような寄港先が決まらないという事態は想定されていなかった。どの国が船に対して責任を持つのか、早急に議論して国際ルールを作るべきだ」と警鐘を鳴らす。
(2月11日朝刊特報面に掲載)