https://opi-rina.chunichi.co.jp/topic/20200208-1.html


東白川村の空き家、第一号物件は14万円 売主は「村」
寄付募り移住希望者向け

 岐阜県東白川村が、村内の空き家と土地を所有者に寄付してもらい、移住希望者に割安で販売する事業に乗り出している。昨夏に寄付の受け付けを始めたところ、9軒が寄せられ、1月から第一号となる物件を14万円で売り出している。空き家の活用は、行政が個人売買を仲介するのが主流だが、村が売り主となることで、提供できる空き家の確保や低価格での販売につなげる。(渡辺大地)

 事業では、残った家財道具の搬出や屋内の清掃、成約までの維持管理を村職員らが直接担うのが特徴。売り出すまでの経費を最小限に抑えることができ、不要な家財の処分費だけを転嫁した低価格で提供できるという。

 まだ使える家具や食器、家電製品などは選別して村内の廃校で保管し、空き家の購入者が申請すれば、自由に使用できる仕組みも採り入れた。

 村では近年、年間30〜40組の移住相談を受けている。一方、移住者に提供できる空き家は数軒しか確保できておらず、せっかくの移住のチャンスを逃すことがあったという。

 村の担当者は、活用できる空き家が集まりにくい要因を、「親が住み続けてきた家を第三者に売り払う抵抗感や、空き家を片付ける際の金銭的負担が大きい」と分析。家財道具の搬出を職員が肩代わりし、公益にかなう村の取り組みであれば、提供してもらいやすいと事業を始めた。
 村内には少なくとも145軒の空き家があり、寄付を受けるかどうかは、建物の構造に欠陥がないかなどを判断して決める。

 第一号の寄付物件は、大正時代建築の木造平屋の母屋91平方メートルと、離れ34平方メートルの2棟。同村越原にあり、周辺の水田とブルーベリー畑、山林もセットで、22日から売り出した。村ホームページの空き家バンクで公開している。

 村では2013年からこれまでに、11軒の空き家で売買や賃貸の個人契約が成立しているが、今回販売を始めた14万円の物件は、村が売値を把握している過去の売買物件と比べ、格段に安いという。

 一方、現時点で寄付の申し出があった空き家は全て昭和中期以前の建築のため、現行の耐震基準を満たしているかどうか分からない。成約後、場合によっては、村が瑕疵(かし)担保責任を問われる可能性もあるため、村は購入希望者に十分に説明し、空き家を改修できる既存の補助制度の活用を促すとしている。

 今井俊郎村長は「人口が2200人ほどの東白川では、親子3人世帯が年12組移住することで人口増が見込める。積極的に移住者に空き家を提供したい」と話している。
(2020年2月8日)


https://opi-rina.chunichi.co.jp/topic/images/20200208-1.jpg