連載「この働き方 大丈夫?」第1部われら非正規ワーカーに、読者から無料通信アプリLINE(ライン)やメールで反響が寄せられた。非正規として働く人たちからの共感や、正社員との格差への疑問が相次いだ。その一部を紹介する。

 ▽「貧乏くじ」言葉ぴったり/重なりすぎて胸が苦しく

 連載では、職を転々とし「派遣切り」される就職氷河期世代の実情を紹介した。廿日市市の学校で働く非正規職員女性(47)は「貧乏くじという言葉が、私たちにはぴったりと感じました」とラインで寄せた。「非正規で働くしかなかった同世代の生きづらさを分かってほしい」という。

 大学卒業は1995年だが、入学した頃は好景気で先輩たちは苦労せずに内定を手にしていた。「私たちの番になったら就職難。ちょっとの差で天国と地獄です」。四年制大学を出してくれた親に対して、正社員になれなかった申し訳なさを今も感じている。

 記事に出ていた男性と同い年という広島市安芸区の男性(46)は「同窓会に行けない気持ちが痛いほど分かる。『氷河期あるある』エピソードを、うなずきながら読んだ。同じ思いを抱える40代は多いはずです」と受け止める。

 製造業などで働いた10年間、派遣社員であることを周囲に隠してきた。正社員に見下され、団塊世代からは「派遣はダメじゃ」「根性がない」と言われ、世間の冷たい視線を浴びて「だんだん人と距離を取るようになった」と打ち明ける。

 新聞を握り締め、記者を訪ねてきた読者もいる。「いてもたってもいられなくて」と広島市の30代無職女性。親の年金に頼って生活する女性(41)の記事は「自分と重なりすぎて、胸が苦しくなった」という。

 引きこもり生活が長く、70代の親に養ってもらっている。このままではいけないと最近ハローワークに通い始めたが、面接には進めていない。「仕事が見つからず焦るばかりです。親が死んだらどうしようって…」。消え入りそうな声で思いを吐き出した。

 ▽正社員とあまりに不公平/能力と努力、吸い取られる

 連載では正社員との格差がある現状も取り上げた。大手企業の関連会社で働く広島市中区のパート女性(52)からは「私と全く同じ」と切実な声が届いた。

 社員はコネ入社が多く、向上心もない。おじさん社員の「IT介護」をし、最近はパートの仕事の差配も任されている。「なのに時給は950円。8年で数十円しか上がっていません」。正社員になりたいと直談判しても「欲しいのは若い男性」と一蹴された。「あまりに不公平。努力を正当に評価してくれる制度が必要です」と訴えた。

 「あえて非正規で働きたい」という意見も少なくなかった。広島市の派遣社員女性(26)は正社員時代を振り返る。帰宅は毎日夜11時。仕事に疲れ果て、休日は夕方まで起き上がれない。定時に帰れる今は、友人と夕食に行けて趣味も楽しめる。「ボーナスと交通費が出ないことを差し引いても、今の働き方を選びます」と言い切った。

 日本型雇用の限界を感じるとラインにつづったのは福山市の会社員男性(42)。「年功序列や終身雇用は曲がり角。給料も上がらないのに、今も企業が求めるのは組織に忠誠を尽くす都合のいい人材」と指摘する。「能力と努力を、会社に吸い取られている感覚です」と納得がいかない。独立を考えているという。

 「光の見えない気がいたします」。アルバイトで働く40代の息子と暮らす60代の親は、2通の手書きのファクスで不安を吐露した。昭和の高度成長期に子どもを育て上げた。息子は真面目に働いても正社員になれず、家庭を築けない。自身の親も90歳を過ぎ、介護が必要になる。令和の新時代に、やるせない思いをぶつける。「親、子どもを支えなければいけない希望の持てない時代です」

ソース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200212-00010000-chugoku-soci