*コロナの情報共有は旬
2020年2月1日

生物学の科学誌 BioRxiv(バイオアーカイヴ)に発表された論文より

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感染力を見ていますと、こちらの記事でふれました、感染力を示す「基本再生産数(R 0 / アールノート)」が 3.6 - 4.0 (最大で 1人が 4人に感染させる)という数そのものが小さく感じてきますが、米ジョンス・ホプキンス大学のデータでは、患者数が 1万を超えている一方で、「退院した人たち」、つまり感染した人たちのうちで、完全に治癒した人の数について、2月1日の時点で「252人」としています。

この疾患の感染拡大の日から考えますと、回復するにしても、それまでには相当の日数がかかる感染症なのかもしれません。

そして本日、やや気になる報道を見かけました。それは、中国の国家衛生健康委員会の記者会見で医師が述べた言葉でした。それは、

「感染しても抗体ができないかもしれない」

ことを示唆するものです。


新型肺炎、治癒後も再感染リスク 中国専門家
2020/01/31

中国国家衛生健康委員会が31日
開いた記者会見で、中日友好医院の※慶元(※簷の竹カンムリなし)医師は新型コロナウイルスによる肺炎に関し「感染後にできる抗体には長期間持続しないものもある。一度感染し治癒した患者にも再感染のリスクがある」と述べ、警戒を呼び掛けた。

この報道の重要な部分は、これが単なる一人の医師の考えによる発言ということではなく、この場は、中国国家衛生健康委員会という「中国当局の公式な会見の場」であるということです。

公式の場で

「一度感染し治癒した患者にも再感染のリスクがある」


「そんな感染症があるかよ」と思わざるを得ないのですが、一般的にどんな感染症でも「1度感染した後は、変異していないのなら、そのウイルスにはその後は感染しない」です。

病原菌への抗体は、簡単にいえば、以下のようなメカニズムで作られます。日本ウイルス学会のウェブサイトからの抜粋です。

ウイルスなどが感染すると、宿主の血液にはウイルスを不活性化するような物質、抗体が作られる。抗体を作るのはB細胞である。抗体は、ウイルスの中和をし、病原体をやっつける。これは、いわゆる液性免疫と云われるものである。(抗原特異的免疫機構)
どのようなウイルスに感染しても、そのときには、細胞内で、ウイルスに対しての抗体が作られるので「次からは感染しない」のです。

この免疫システムがあるからこそ、人間は歴史上の数多くの病原菌やウイルスの厄災の中で生き残ってきたのです。

風邪や季節性インフルエンザのように、毎年変化するものや、いろいろな種類のあるものは、「風邪」とか「インフルエンザ」という括りでは何度もかかるものですが、それらにしても、同じウイルスであれば基本的には二度はかかりません。

しかし、中国の保健当局の発表では、新型コロナウイルスは、「二度感染する可能性がある」というのです。

あり得るとしたら、やはり、日本ウイルス学会のウェブサイトからの抜粋ですが、以下のようなものは、「ヒトの免疫を不全にする」作用を持ちます。

宿主は菌に対して防御機構を持っている。菌は防御機構を乗り越え次のステップに進もうとする。宿主の防御機構がそれぞれのステップで菌に打ち勝てなかった場合にのみ宿主は発病する。

HIV(エイズウイルス)に感染すると、体の免疫機構が崩壊する。すると、免疫状態が正常な人では発病に至らないような細菌やウイルスの感染でも発病に至る。

なお、HIVは、正式には「ヒト免疫不全ウイルス」ですが、エイズウイルスとしたほうが通りやすいですので、ここでは、その表記にしています。

HIV は免疫細胞に感染して、免疫細胞を破壊することにより、健康な人だと感染や発症はしないような病原菌での症状を起こしてしまうものです。

そういうことを前提として、今回ご紹介しますのは、インド工科大学の科学者たちによる新型ウイルスの解析の中で、

「新型ウイルスには 4つの他のウイルスのタンパク質が挿入している」

ことがわかったということが、科学誌 BioRxiv(バイオアーカイヴ)に掲載されていたのでした。

そして、挿入しているその 4種類のタンパク質すべてが、

「エイズウイルスのタンパク質と同じ」


解析した新型コロナウイルスは、実際の患者たちから得られたもので、今の現時点で感染拡大しているものと同じものです。

https://i.imgur.com/DTInICm.jpg
https://indeep.jp/found-hiv-in-wuhan-coronavirus/
↑抜粋記事