南太平洋の海底を掘削した岩石の中に、微生物が生息していることを東京大学の研究グループが発見しました。この岩石の中では、これまで生物は生息できないと考えられていて、研究グループは常識を覆す成果だとしています。

バクテリアなどの微生物は、地下から見つかるケースが増えてきていますが、有機物を豊富に含む堆積物の中や熱水噴出孔など、エネルギーを得ることができる場所にかぎられ、玄武岩と呼ばれる地下に広く存在する一般的な岩石の中には、生物は生息できないと考えられてきました。

こうした中、東京大学の鈴木庸平准教授の研究グループは、南太平洋のおよそ5000メートルの海底から、さらに100メートル余り地下の玄武岩を微生物が混入しないように掘削し、生物がいないか調べました。

その結果、玄武岩の筋状の模様の部分に、1マイクロ程度の小さなバクテリアなどが多数生息していることを発見しました。筋状の部分は玄武岩の一部が長い年月で粘土質に変化した部分だということで、見つかったバクテリアの詳しい種類や、どのようにエネルギーを得ているのかなどについて解析を進めています。

鈴木准教授は「誰も調べてこなかったので、もしかしたらと思ったが生物がいて驚いた。普通の岩石の中に生物が広く存在している可能性を示していて、これまでの常識を覆す成果だ」と話しています。

こうした地下の生物の謎に迫る最新の科学成果について、16日午後11時30分からEテレで放送する「サイエンスZERO」で紹介します。
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