ダイムラー、20年代後半に燃料電池トラック量産
EVトラックと2本柱
2020年2月19日 0:35
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55800840Z10C20A2000000/

【シュツットガルト=深尾幸生】独ダイムラーは18日、燃料電池トラックを2020年代後半に量産すると発表した。当面は電気自動車(EV)トラックに注力し、燃料電池トラックは30年以降にEVと並ぶ2本柱と位置づけ、日米欧などで販売するとみられる。EVと比べコストは高いが、貨物の積載量が多く走行距離も長いため、用途に応じて顧客に提案する。

ダイムラー傘下のダイムラー・トラックのマーティン・ダウム社長が年次記者会見で明らかにした。水素を燃料とする燃料電池トラックはEV同様、走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない。ダウム社長は「EVと補完関係を築ける」と強調した。

まずは実証車両を「もっと早い時期」に市場に導入する。ダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスは19年の東京モーターショーで、FCトラックのコンセプト車を発表していた。

欧州連合(EU)は商用車のCO2を25年に19年比15%、30年に30%それぞれ削減することを義務づけている。ダイムラーは25年目標はEV化で対応するが、30年目標はEVとFCトラックの2本柱で達成をめざす。

一方、一部の欧州メーカーがCO2排出を減らすために力を入れている天然ガスを燃料に使うトラックについてダウム社長は「まったく考えていない。経営資源の無駄だ」と言明し、開発の可能性を排除した。

ダイムラーは39年までに日米欧で発売するすべてのトラックを、CO2を排出しない車両にする方針を掲げている。

燃料電池トラックをめぐっては、米スタートアップのニコラ・モーターが21年後半に商業生産を始めると表明。いすゞもホンダと共同開発を始めた。