https://bunshun.jp/articles/-/35160


新型肺炎 崖っぷちの日本に活路はあるか

ヨミドクター(読売新聞)40分前
2020/02/19

迅速な情報公開は良かったが……

 今回も新型コロナの話です。前回アップしたのが1月23日で、あれから1か月もたっていないのですが、状況はその間に大きく変化しています。

 中国の患者数が激増し、死亡者も1700人を超えました。一方、日本でも散発的にあちこちで感染者が見つかるようになり、警戒心が高まっています。政府、厚生労働省の方針もこの間、何度も変更されました。

 さて、ぼくは2月5日、あるジャーナリストとの勉強会で「日本の感染拡大予防策はおおむね成功している」と述べました( https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/coronavirus-dr-iwata )。同時に「今は新型コロナウイルスがこの先、終息するのか流行するのかどうかの瀬戸際にある」「武漢での感染拡大は深刻な状況」「武漢のケースが示しているのは、新型コロナウイルスは患者数が増えるとまずいということ」「単発的な感染だけではそこまで恐れる必要はない」とも述べました。

 が、「日本の対策はうまくいっている」と思ったのは、ガードの上げ下げ、情報の出し方が上手だったからです。


 感染対策は「これが正しい」という一意的なものではありません。ガードの上げ下げの塩梅(あんばい)、落とし所の落とし方が大事なのです。簡単に言えば、街を封鎖し、外出を禁止し、戒厳令でも出せば、たいていの感染症の流行は止まります。しかし、それでは私たちの社会生活は大きく損なわれてしまいます。もちろん、ノーガードで、なすがままなのはもっとよくありません。極論に走らずに上手に微調節するのが大事なのです。

 厚労省の態度で良かったのは、迅速な情報公開の態度と、同時に(やや矛盾するようですが)感染者のプライバシーの保護を徹底していたからでした。

 かつての厚労省は隠蔽体質が強く、裏で何がどう行われているかも定かではなく、バックヤードで誰かが何かを何らかの事情で決めてしまってから、いきなり「こう決まったから」と通知を出してくる、木で鼻をくくるような態度でした。情報は出さないのが偉い、「ここだけの裏話」を知っているインサイダーだけが偉い、といういびつな組織構造でした。かつての官僚がとても偉かったのは、この情報を持つものと持たざるものの格差を活用していたからです。

保健所で検査を拒まれる例が

(リンク先に続きあり)