検察官について定めた検察庁法ではなく、国家公務員法の規定に基づき、定年の63歳となった後も、黒川弘務東京高検検事長の勤務を延長した1月31日の閣議決定。安倍晋三首相は2月13日の衆院本会議で、定年に関する国家公務員法の規定は検察官に「適用されない」としてきた従来の法解釈を変更したとの見解を表明した。法解釈変更による検察官初の勤務延長に問題はないのか。検察庁法と国家公務員法の制定、改正の経緯をたどり、憲法や人事院規則も手掛かりにしながら検証してみると、やはり無理筋と言わざるを得ないようだ。(共同通信編集委員=竹田昌弘)

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■勤務延長の規則にも該当せず、検察庁法改正が必要

 さらに黒川氏に国家公務員法の勤務延長を適用するには、他にも問題がある。勤務延長を定めた国家公務員法81条の3の1項は、次のように規定されている。

 「任命権者は、定年に達した職員が前条第一項(81条の2の1項)の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性またはその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる」

 この条文では「前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において」として、勤務延長の対象を国家公務員法81条の2の1項で定年退職する人に限定している。検察庁法22条で定年を迎えた黒川氏は、適用の対象ではなく、国家公務員法81条の3の1項に基づく勤務延長はできないのではないか。

 また勤務延長が認められる「その職員の職務の特殊性またはその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由」については、国家公務員法の定年に関する規定を受けた人事院規則11−8の第7条で、@職務が高度の専門的な知識、熟達した技能または豊富な経験を必要とするものであるため、後任を容易に得ることができないとき、A勤務環境その他の勤務条件に特殊性があるため、その職員の退職により生ずる欠員を容易に補充することができず、業務の遂行に重大な障害が生ずるとき、B業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき―と詳細に定められている。

 組織で業務に当たる検察庁で、しかもナンバー2のポストである東京高検検事長の業務で、@〜Bに該当するようなケースが現実にあり得るだろうか。黒川氏は法務省に20年以上勤務し、検察庁での経験は少ない。法務省であればまだしも、検察庁で黒川氏でなければできない業務はなかなか思い浮かばず、勤務延長の必要性もうかがえない。

 そもそも国権の最高機関である立法府の国会で、解釈も含めて審議して成立した法律を、政府が勝手に解釈を変更して適用するのは、三権分立や「法の支配」を無視した独裁政治ではないか。政府がどうしても黒川氏を定年後も残したければ、黒川氏の定年前に検事総長以外の検察官も退官年齢を65歳にするか、あるいは、検察官にも勤務延長制度を導入する検察庁法改正案を国会に提案し、成立させてもらうしかなかったのではないか。

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2020/2/24 07:00 (JST)2/24 09:46 (JST)updated
https://this.kiji.is/603897768707392609?c=39546741839462401

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