https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-25/Q69VUKT0G1L001
 米疾病対策センター(CDC)は25日、国内での新型コロナウイルス感染拡大の場合に政府が講じる可能性のある一連の措置を説明した。
最も思い切ったケースでは、学校閉鎖のほか、スポーツイベントやコンサート、商談の中止などにつながる可能性があるとして、
一部の人々にとって日常生活に著しい悪影響を及ぼす恐れがある緊急計画の概要を示した。

CDCのナンシー・メッソニエ国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)所長は25日、記者団との電話会見で、
「米国内で市中感染が起きると予想している」とし、「起きるか起きないかという問題ではなく、いつ起きるかの問題だ。必ず起きる」と強調した。

CDCのアン・シュチャット首席副所長は25日、別途記者会見し、当局がどのような措置を取るかや、措置が適用される範囲は感染拡大の規模によるだろうと述べた。
シュチャット氏は、中国では都市が封鎖され、家は一軒一軒調べられ、住民は強制的に隔離されており、こうした
「中国、そして湖北省から受けるイメージと、米国で見込まれる状況は全く異なる」と指摘。
「メッソニエ氏の発言は将来起こり得ることの枠組みを示そうとしたものだ。われわれの封じ込めの取り組みがうまく機能していると言うことが非常に重要だ」と説明した。

トランプ大統領は25日、CDCの注意喚起に先立ち、新型ウイルスの米国内の感染拡大リスクは小さいとの見解を示していた。
インドを訪問中の大統領はニューデリーでの記者会見で、新型ウイルスは「米国内では非常によく封じ込まれている」と発言。
米国内の「感染者はほんの少数」であり、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を下船・帰国した人々のうち、感染した人も回復しつつあると述べた。

その後、ホワイトハウスのクドロー国家経済会議(NEC)委員長は国民に冷静な対応を呼び掛けた。同氏はホワイトハウスで、
「国民がこれを受け止める際にできるだけ冷静になるべきだと思う」とし、「緊急計画を立てたからといって必ずしも実行されるわけではない」と語った。

中国国家衛生健康委員会とブルームバーグの集計によると、日本時間25日午後6時時点で、新型ウイルスの世界の感染者は8万347人、死者は2704人に増加した。
イタリア国内の新型ウイルス感染者は25日も増加し、322人となった。死者は計10人に増えた。
欧州各国で感染者が出始めており、観光やビジネスへの影響拡大が懸念されている。ドイツとフランス、イタリアやその近隣国の保健相らは国境閉鎖をせず、
感染者が多い国からの渡航者に関する情報の共有を強化すると明言した。

スペインでは、ウイルスの暫定検査で陽性となったイタリア人観光客が滞在していたスペイン領カナリア諸島のテネリフェ島にあるホテルの客と
従業員約1000人を足止めしている。
クロアチアとスイスでは初めて感染が確認され、オーストリアでは新たに2人の陽性者が出た。これらの感染者全員がイタリアに関係していた。