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【フランクフルト=深尾幸生】独鉄鋼・機械大手の独ティッセン・クルップは27日、エレベーター事業を米投資会社アドベント・インターナショナルなどの陣営に売却すると発表した。売却額は172億ユーロ(2兆円強)。9月末までに売却手続きを完了する。ティッセンは売却で得る資金でまず負債を削減し、鉄鋼など不振事業の再建を目指す。

ティッセンが売却先に選んだのはアドベントと英投資会社シンベン、独RAG財団などの連合。アドベント連合は競っていた米ブラックストーンなどの陣営に条件面で上回ったもようだ。

アドベント連合は広い範囲で雇用と拠点の維持を保証した。本社はドイツに置き、労働組合に相当する従業員代表が経営の意思決定に関与するドイツの制度を維持する。ティッセンは売却後、12億5千万ユーロを新しいエレベーター事業会社に再出資する。

ティッセンのマルティナ・メルツ社長は声明で「売却でティッセンは再びスピードを上げられる。必要なだけ負債を減らすと同時に、今後のために合理的な投資をしていく」と述べた。

ティッセンは2019年5月に稼ぎ頭のエレベーター部門を上場して株式の一部を売却する戦略を打ち出した。だが、鉄鋼など他事業が振るわず財務が悪化し、完全売却に方針転換していた。

当初は投資ファンドだけでなく、エレベーター大手コネ(フィンランド)や日立製作所も関心を示していた。独禁法当局の審査が長引いたり、認められなかったりするリスクを考慮し、投資ファンドに絞った。メルツ社長は「良い価格を得られただけでなく、手続きを迅速に終えられる」とアドベント連合への売却を自賛した。

2020年2月28日 4:35
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