「新型コロナウイルスの影響で、間近に迫った結婚式を中止するか迷っている」??現在、Twitterでそうした声が上がっている。

背景には、結婚式を中止した場合に支払う高額なキャンセル料の存在がある。

キャンセル料だけで数百万円というケースも

3月に結婚式を控える世田谷区の30代男性は、「キャンセル料は10日前まで半額。それ以後は100%かかる」と話した。この男性の場合、金額にすると数百万円にもなるという。キャンセルすると負担は重くのしかかるが、すでに欠席の連絡もあるといい、式を予定通りおこなったとしても「出席者は不安だろうから申し訳なさがある。どちらに転んでもモヤモヤは残る」と心境を明かした。

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「延期は無料」打ち出す企業も

ブライダル業界最大手のテイクアンドギヴ・ニーズは、結婚式の実施状況について「すでにキャンセルは出始めている。相談、問い合わせも徐々に増え始めている」と編集部の取材に答えた。またスタッフについても「マスク着用を前提に主催者に確認し、希望されない場合はマスクをしないで対応している」と対策を講じているという。

事態を受け、同社は9月末までの結婚式の日程変更については追加料金をとらないという方針を打ち出した。通常、日程変更に伴う追加料金は119日前から必要になり、29日前から11日前は見積もりの45%、10日前から2日前は50%、前日は80%となっているという。

今回の特例措置では、仮に新型コロナウイルスを理由に出席者数が減ってしまった場合にも、欠席した客の分は料金を取らない方針だ。あくまでも開催する可否判断の最終決定は主催者に委ねるが、日程の近い主催者に対しては日程変更が可能であると順次連絡している。

自粛ムード続けば対応が変わる可能性も

ブライダル産業新聞デスクの権藤咲氏は、キャンセル料については、政府の方針が「自粛を要請」と曖昧なこともあり、現時点では式場や企業によって「対応が分かれている」と話した。ただし、今後自粛やキャンセルが続けば、2011年の東日本大震災のときのように特別な対応をとったり、後日式をプレゼントする企画をおこなうなど、「各社対応を変える可能性はある」と分析している。(いずれも2月28日20時時点での回答)

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「祝いたい気持ちはあるが・・・」招待客も困惑

結婚式を控えたカップルにとっては悩ましい状況となっているが、一方で招待された側からも不安の声は上がっている。

昨年生まれたばかりの子をもつ神奈川県の30代男性は、3月中に友人の結婚式に招待されており、予定通り開催されることが決まった。男性は「当人たちがやると決めたのならなるべく祝いに行ってあげたい。とはいえ、その場の雰囲気によっては式の最中もマスクを着用したり、余計なものは触らないようにしたり、自分で気をつけられることはしようと思う」と自衛することが必要だと語った。

人生の晴れ舞台が一転して悩みの種となってしまったカップルたち。終息の見通しも立たないなか、難しい選択を迫られそうだ。

2020年02月29日 12:25
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