"もうすぐ春ですね"というのに、街を歩くと不気味である。ほとんどがマスクをして、無言でゾロゾロ歩いている姿は、私にはゾンビの群れのように見える。私のような年寄りで、マスクもしない人間を見ると、こいつは認知症だと思うのだろうか、汚いものでも見るようにして通り過ぎていく。混んだ電車の中で咳でもしようものなら、みんなで寄ってたかってぶん殴られるのではないか。そんな恐怖と闘いながら、毎日オフィスへ通っている。

感染拡大阻止対策がすべて後手後手になってきた安倍政権のおかげで、中国と並ぶ新型肺炎汚染国として、世界から認知され、イスラエルのように日本人入国お断りという国が今後、増えてくるのであろう。

発言者は特定されていないが、IOCが東京オリンピックの延期を考え始めているという報道もあった。プロ野球のオープン戦や、ゴルフ、競馬も、観客を入れずにやるようだ。現時点で、感染者は877人、死者は7人。この1、2週間が山だといわれているが、あまりにも楽観的過ぎると私は思う。

2002年に、今回のウイルスと同じ性質を持つSARSは、終息宣言が出るまでに約9か月かかっている。今回のはSARSより致死率は低いが、感染力ははるかに強いから、まだ感染が広がる国は増えるだろう。日本が感染を抑え込んだとしても、収束していない国は、オリンピックへの参加を自粛せざるを得まい。どう考えてもオリンピック開催は難しいのではないか。

週刊新潮、週刊文春ともにこの問題を大きく扱っている。週刊新潮は、まだ感染者数が3桁に留まっているのは、「検査を受けられる人が限られているから」(医療ガバナンス研究所の上昌弘理事長)で、2009年に流行した新型インフルエンザは7か月で1000万人を超えたというデータがあるから、「『隠れコロナ患者』も現時点で100万人程度いたとしてもおかしくない」(同)と見ている。

さらに情報公開が遅れているとも指摘する。日本人の死者も出ているのに、政府は誰一人としてその身元も公表していない。ダイヤモンド・プリンセス号で3人目の死者が出たが、「80代の男性」というだけで、乗客なのか乗員なのかもいわない。

現在、船に乗っている人数を厚生労働省に聞いても、「わからない」と答えるだけだ。ここでも遺族が望まないという理由だといい張るが、「行政の失態や過ちを伏せるための口実」(田島泰彦・上智大学元教授)に使っていると勘繰られても仕方がなかろう。

2020/2/27 16:58
https://www.j-cast.com/tv/2020/02/27380771.html?p=all