新型コロナウイルスの感染拡大に対する国や自治体の対応は様々だ。中国では武漢市を中心とした湖北省、
イタリアでは北部ロンバルディア州で、地域の交通網を断つ「事実上の封鎖」措置が取られている。

一方、日本では政府や自治体が移動や外出、イベント開催などへの自粛要請はあっても、都市や地域の封鎖措置は取られていない。

都市の封鎖は大げさな措置にみえる。その効果を懐疑的にみる向きもある。ただ、将来に致死率が高い感染症が海外から持ち込まれる可能性も否定できない。
最悪のシナリオを想定した場合、日本は都市や地域に対して封鎖措置を取れるのか。内閣官房で国際感染症対策調整室企画官を務める野田博之氏に聞いた。

―自治体を事実上封鎖する措置を取る国があります。日本でもできるのでしょうか。

交通の制限は可能です。感染症法の第33条に規定されています。「一類感染症」のまん延を防ぐために緊急の必要があると認める場合に限られますが、交通を制限、あるいは遮断できます。

―エボラ出血熱やクリミア・コンゴ出血熱、ペストなどの一類感染症に指定されたものだけですと、今回のような新しい感染症では難しいのでしょうか。

新型コロナウイルスは2月1日に「指定感染症」とされています。一類感染症ではありませんが、当該の指定感染症を含むよう改正すれば対応は可能です。

―交通封鎖をするとしたら、それを指示するのは政府なのでしょうか。それとも自治体の首長による発令なのかを教えてください。また封鎖の範囲などはどの単位となるのでしょう。

都道府県知事になります。どの地域になるのかは知事の判断によりますが、患者のいる場所や病原体に汚染されたとおぼしき地域の交通を制限・遮断することができます。ただし、72時間以内という時間の制限があります。人権上の問題もあるので。

―72時間! 武漢市は1カ月以上事実上の封鎖状態ですが、日本では3日間が限界なのですね。中国では警察などが交通制限していますが、日本では誰が担うのでしょうか。

感染症法は1999年に施行されましたが、交通制限の措置を取ったケースはまだありません。なので、誰が担うのかは正式に決まっているものではないと思いますが、都道府県や保健所の職員になるのではないかと思います。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200305-59217021-business-soci
3/5(木) 6:00配信