4日に新型コロナウイルスの感染が確認された介護職の40代女性について、熊本県は当初、本人や勤務先からの検査要望を受け付けなかった。結果的に3日間、感染を見過ごしていた可能性が高い。

 県や女性が勤める玉名市の介護老人保健施設「樹心台」によると、女性は2月29日、大阪市のライブに行き一緒に食事をした友人(高知市の30代女性看護師)から発症の連絡を受け、県有明保健所に1日朝から検査を要望。しかし保健所は、ライブから2週間たち、無症状である点などから「検査基準に該当しない」として検査を見送った。

 県にはその日の夕方、ライブに来ていた女性の別の友人(愛媛県愛南町の40代女性銀行員)が感染していた、と愛媛県から連絡が入った。この友人は女性と同じ無症状だったが、それでも県は検査に踏み切らなかった。

 一方、「樹心台」は2日と3日に「高齢者が集団で生活する場の職員。感染拡大の危険を考え、どうか検査をお願いしたい」と保健所へ依頼。入院した感染者の多くが無症状だとされる中国の状況も伝えたが、保健所の回答は変わらなかった。状況が一転したのは4日。大阪府の吉村洋文知事が会員制交流サイト(SNS)で「無症状でもライブ参加者全員を検査対象にする」と投稿。これを知った女性が再び保健所に検査を求め、ようやく検査に至った。樹心台側は「もう少し柔軟に対応してもらえたら良かったのだが…」と不満をにじませた。

 5日、記者会見した蒲島郁夫知事は「これまで以上に弾力性を持って検査を運用する」と強調した。(堀江利雅、國崎千晶)

3/6 10:00 (JST)updated
https://this.kiji.is/608464076011684961?c=92619697908483575