新型コロナウイルス感染拡大の影響で、生花の需要が急減している。卒業式や結婚式の中止・延期で、注文が相次ぎキャンセル。関係者は「長引けば東日本大震災以上の影響になる可能性がある」(生産者)と、先行きへの警戒を強めている。
 小売り大手の日比谷花壇(東京)では、2月下旬から結婚式用の花の予約延期や取り消しが続く。担当者は「1件が高額なため、業績への影響が大きい」と話す。ビジネス街の花店「HANAHIRO CQ丸の内店」(同)でも「送別会はできないが、花だけは贈ろうという需要が2月に前倒しされたため、3月は大きく落ち込みそうだ」と懸念する声が聞かれた。
 ガーベラやバラなどの卸値は下落しており、今後、生産者の収入が減る可能性もある。愛知県経済農業協同組合連合会(名古屋市)は「自宅で飾ってもらえるよう需要を喚起したい」(花き課)と強調。花の定額制サービスを手掛けるCrunch Style(東京)は花への関心を高めてもらうため、提携する店から1万本の花を買い取り、3000人に無料配布した。
 生花に加え、和牛など「ハレの日」に欠かせない高級食材も販売に急ブレーキがかかっている。和牛は、暖冬で鍋物需要が落ちていたところに、新型コロナによる訪日外国人客の急減や宴会自粛が追い打ちを掛けた。関係者は「コロナが収束しないとどうにもならない」(鹿児島県の農協)と頭を抱えている。

2020年03月07日13時35分
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