札幌の冬の一大イベント、さっぽろ雪まつりを巡っては、複数の来場者が新型コロナウイルスに感染しており、市は感染拡大や集団感染のきっかけとなった可能性があるとみている。国内外から不特定多数の観光客が訪れるイベントであることから、「中止すべきだった」と市など主催者の判断の甘さを指摘する専門家もいる。【土谷純一】

 今年の雪まつりは開催前の1月27日に中国人団体客の来日が停止されたことが大きく響き、来場者数はメインの大通会場(2月4〜11日)で約158万人(前年の81・4%)、全体では約202万人(前年の73・8%)にとどまった。

 開催前に道内で感染者が確認されていたが、会場に「せきエチケット」を促すポスターや消毒液の設置や、スタッフのマスク着用などの対策を講じて開催に踏み切った。

 来場が判明した全国の感染者は、8日時点で5人。最初に分かったのは道内3例目の感染者で、大通2丁目会場で事務作業をしていた男性スタッフだった。発症は2月8日で、期間中はプレハブ小屋で計3人で作業しており、このうち2人の感染が確認された。市保健所によると、来場者と直接関わる立場ではなかったという。

 雪まつり終了後の2月中旬から3月に至るまで、道内・市内の感染者は増え続け、複数の感染者の行動歴が雪まつりに重なっていることから、市は感染拡大のきっかけや集団感染の疑いもあるとみて、2月下旬に分かった新たな感染者への聞き取りの中で、雪まつりに行ったかどうかを確認してきた。12・5日とされるウイルスの潜伏期間から、3月以降発生分は雪まつりで感染した可能性は低く、複数人を介した感染とみている。

 北海道医療大の塚本容子教授(感染看護学)は会場内で人と人との距離が非常に近いことをあげ、「あれだけ人が密集していれば、屋外でも感染リスクは高い」と指摘。「観光客は雪まつりだけでなく、飲食店に行ったり、買い物をしたりする。期間中に大通公園を起点として、札幌市中心部の集団的な感染が起きたと考えてもおかしくない」と開催に踏み切った判断に疑問を呈した。【土谷純一】

3/9(月) 22:41配信毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200309-00000096-mai-soci
画像 マスク姿の観光客でにぎわった「さっぽろ雪まつり」=札幌市中央区で2020年2月4日、竹内幹撮影
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