新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、4月からの就職を控えた学生が企業から内定を取り消されるケースが出始めた。

内定時点で労働契約が成立していることを受け、厚生労働省は13日、実態の把握に乗り出した。また、学生の不安を払拭(ふっしょく)しようと「内定取り消しの連絡を受けた場合は、最寄りのハローワークに相談を」などとツイッターで発信した。

 厚労省は、全国のハローワークを通じて内定取り消し数を把握している。その結果、製造業の企業に入社予定だった今春卒業の高校生が内定を取り消されたほか、入社時期を遅らされたという相談が複数確認され、経済団体や大学などを通じて情報収集することにした。

ツイッターには「内定取り消しの回避に向けた事業主への助言指導や、今年3月に卒業予定の皆様向けの就職支援も行っています」とも記した。加藤勝信厚労相は記者会見で「合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない内定取り消しは無効で、通常の解雇と一緒だ」と指摘し、経営努力を行うよう企業側に求めた。

 連合の神津里季生会長も13日、「社会不安につながるので、むやみやたらに内定の取り消しをすることは避けてほしい」と述べた。連合と意見交換した全国中小企業団体中央会の佐藤哲哉専務理事は「景気が悪くなると経営者が判断に迷い、内定取り消しという事態が起きかねないことを想定している」とし、「強力な景気対策を作ってほしい」と政府に要望した。【矢澤秀範】

毎日新聞 2020年3月13日 19時28分
https://mainichi.jp/articles/20200313/k00/00m/040/278000c