政府主席科学顧問は感染ピークの抑制に取り組む政府を擁護

世界的に見て英国は異端の緩いアプローチ、大規模イベントも継続


新型コロナウイルスを巡り、英国政府に批判が相次いでいる。対応が他国に比べ緩いうえ、パンデミック(世界的大流行)の犠牲について思慮を欠く発言が続き、批判に拍車がかかった。

  政府首席科学顧問のパトリック・バランス氏は13日のインタビューで、国内人口の6割が感染するかもしれないと警告。前日にはジョンソン首相が「もっと多くの」家族が愛する人を失うことになると発言した。複数の政府当局者は、数カ月続くとみられる感染拡大に対して適切な時期に適切な対応を確実にすることを狙ったアプローチだと説明している。

  急速な感染拡大に対して欧州各国が学校閉鎖など積極的な措置に踏み切る一方、英国はその対応の仕方から異端児扱いされる恐れがある。

  エジンバラ大学のデビ・シュリダール教授(世界公衆衛生学)は電話で、「英国はあまり迅速に手を打っていないのではないかと非常に不安だ」と指摘。「スピードが肝心だ」と続けた。

  首席顧問のバランス氏は当局者がウイルス感染を「完全に抑え込むのではなく」、ピークの水準を抑え、平たん化しようとしていると述べ、英国のアプローチを擁護。国民の60%が感染すれば、ある程度の「集団免疫」形成に役立つだろうと語った。

  14日のラグビー欧州6カ国対抗戦 「シックスネーションズ」の試合など大規模なイベントが依然継続されているのはなぜかと問われると、「やめさせると言えば目を引くだろうが、実際には感染拡大に大きな影響はない。実際にスタジアムに行くよりも、パブなど人々が集まるところで観戦する方が感染の可能性が高いと考えている」と述べた。

2020年3月14日 6:08 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-13/Q757PCDWX2PW01