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日本も病院船を持つべきか? そのメリット・デメリットとは
2020.03.16 稲葉義泰(軍事ライター)


日本国内における新型コロナウイルスの流行を受け、「病院船」の保有についての議論が再燃しています。単純に考えてあったほうがよいであろう病院船ですが、もちろんデメリットもあり、これまで自衛隊は保有するに至っていません。



新型コロナウイルスでにわかに注目を集める病院船

 2020年1月に初めての感染者が確認されて以来、日本国内における新型コロナウイルスの感染者数は徐々に増加しつつあります。そのようななかでにわかに注目を集め始めているのが、病院機能を持った大型船である災害時多目的船、いわゆる「病院船」です。

 その理由は、もし病院船があれば、ウイルスに感染した人々を洋上で隔離したまま治療することができるというものですが、もし実際に日本が病院船を持とうとした場合、ほかには一体どのようなメリットがあるのでしょうか。


病院船の運用とその効果とは

 例年発生する地震や台風などに代表されるように、日本はこれまで数多くの災害に見舞われてきましたが、そのたびに問題となってきたのが被災地での医療の提供です。

 災害が起きれば被災地の病院は被害を免れませんし、近隣都道府県の病院へ負傷者を搬送しようにも、道路が寸断されている可能性もあります。そこで注目されるのが病院船です。被災地の近くの海上に病院船を派遣し、そこに負傷者を搬送して緊急治療を施す、あるいは病院船でとりあえずの応急処置を施したうえで被災を免れた近隣の病院へと負傷者を搬送すれば、被災地の病院が機能していなくても、多くの人命を救うことができます。

 一方で、災害時に病院を必要とするのは、けがを負った人たちだけではありません。慢性的な疾患により長期の入院が必要とされる患者をどうするか、という問題も発生します。そうした患者を被災地の病院から受け入れることができるというのも、病院船の大きなメリットです。
(リンク先に続きあり)


アメリカ海軍の病院船「マーシー」。患者用の病床数は1000床以上という(画像:アメリカ海軍)。

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