山口県下関市は16日、1965年に同市で発見、採集された恐竜の卵の化石は新種で、「ムルティフィスウーリトゥス・シモノセキエンシス」との学名が付けられたと発表した。福井県立大恐竜学研究所と福井県立恐竜博物館の共同研究により、この化石は新種と確認され、国際的な古生物学誌「ヒストリカル・バイオロジー」(電子版)に同日、論文が掲載された。学名は「下関の多裂卵石」との意味だという。

 この化石は、当時高校生だった会社員の清水好晴さん(71)=神奈川県横須賀市=らが65年9月、下関市綾羅木川上流域にある白亜紀前期(約1億2000万〜1億年前)の地層で採集。2017年にこれが国内最初の恐竜化石の発見であることが分かり、さらに福井県立大などによる共同研究が続けられていた。

 卵の化石は、殻の厚さが3ミリを超え、ニワトリの約10倍にも及ぶことなどが特徴。長径は約10センチと推定される。同大恐竜学研究所の今井拓哉助教によると、3メートル以上の中型から大型の恐竜が生息し、産卵や巣作りを行っていたとみられるという。化石は下関市立考古博物館で常設展示される予定。

55年前に発見された恐竜の卵の化石のかけら(山口県下関市提供)
https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/202003/20200316at45S_p.jpg
https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/202003/20200316at46S_p.jpg

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020031600995