新型コロナで重症化

 新型コロナウイルスの感染者で重症化する人と、しない人を分けるものは何なのか。国の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議によると、日本国内での感染者の症状は微熱、咽頭痛、咳などの普通の風邪症状から始まり、その段階で重症化するかどうかを見極めるのは難しい。

 また、重症化する患者は風邪の症状が出始めてから5〜7日程度で症状が急変して肺炎にいたり、入院期間は約3〜4週間に及ぶことが多い。重篤となるケースでは、人工呼吸器による治療だけでなく、人工心肺を用いた集中治療が必要になることがある。

 重症者の割合自体は、決して多くない。厚労省が公表するところでは、PCR検査が陽性で症状のあった503人のうち、重症者の割合は約5%(3月11日時点)。

 東京都は特設HPを設けて感染者の情報を詳細に公表しているが、検査で陽性だった73人のうち、重症化は7人。すでに亡くなった人が2人となっている(3月11日時点。その他は軽症および中等症が42人、退院が22人)。亡くなったのは80代と90代という高齢の男性。その一方、検査で陽性だったものの、症状が軽くて既に退院した人には20代男性や30代の男女から、70代の男女まで、幅広い年代が含まれている。

 3月1日には、千葉県船橋市に住む20代の男子大学生と、その母親で神奈川県に住む50代女性、さらに大学生の祖母にあたる70代女性という3世代での感染が確認されたが、大学生とその母親は軽症で、70代の祖母だけが重症であることが明らかになった。2月に都内での初めての感染者として確認された70代男性のケースでも、後に感染が判明した神奈川県に住む80代の義母が重症化し、亡くなっている。感染症指定医療機関に勤務するA医師がいう。

「年齢や既往歴(これまでにかかってきた病気)などによって重症化リスクが高くなるとされていますが、私が知るケースでは60代で既往歴がない人にも、高齢で糖尿病を患っている人にも、重症化することなく2週間で退院された患者さんも少なからずいます。

 やはり、基本的には重症化リスクのある人が適切なタイミングで適切な治療を受けられることが大切になるのです」

 だからこそ、現段階で明らかになっている重症化リスクについて、ひとつひとつ見ていく必要がある。

◆重症化した70代と退院した70代

 新型コロナウイルスの重症化リスクと指摘されているのは、【1】高齢者、【2】糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)の基礎疾患がある人や透析を受けている人、【3】免疫抑制薬や抗がん剤などを用いている人、である。

 ただ、一口に「高齢者」といっても、前述の通り重症化する70代もいれば、症状が軽くて退院していく70代もいる。名古屋市衛生研究所・微生物部長の柴田伸一郎氏が指摘する。

「高齢者のなかでも基礎体力が落ち、余命わずかな状況の人が新型コロナウイルスに感染して重症化し、最悪の場合に亡くなっている印象です。過去にノロウイルスが流行した際も、重症や死亡にいたったのは、弱ったお年寄りが多かった」

 重症化にいたるメカニズムについては、専門家でも詳細はまだよくわかっていない状況だが、糖尿病患者が重症化しやすい理由について、柴田氏は「腎機能の低下」の可能性を指摘する。

「腎臓には細かい毛細血管が集まって尿をろ過する『糸球体』という部位があり、糖尿病になると糸球体の血管がもろくなって十分に尿をろ過できなくなります。従来のコロナウイルスは、腎臓に感染して腎機能を悪化させる事例が見られましたが、新型コロナウイルスでも、もともと機能の落ちた腎臓に感染することで、糖尿病患者が重篤化する可能性があります」

 持病の有無が重症化するかのカギを握っていることを示唆するデータもある。

 WHO(世界保健機関)と中国を含む25か国の専門家が2月25日付でまとめた報告によれば、中国での新型コロナウイルス感染者のうち、併存疾患がない人で死亡したのは1.4%にとどまった一方で、心・血管系疾患のある感染者では13.2%が、糖尿病を抱える感染者では9.2%が死亡していた。さらにそれに続いて、高血圧を患っている感染者では8.4%が死に至っていたのだ。

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