大阪市の松井一郎市長は17日、2020年4月から市立小中学校の給食費を無償化すると表明した。当初は21年度からの予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策として実施を早めた。子育て世帯の負担を軽減する狙いで、20年度は所得制限は設けず、全世帯を対象とする方針。給食費の完全無償化は、政令市では初めて。

 松井市長は記者団に「学校が休校になり、子どもたちには支出が伴う。保護者の仕事もこの先どうなるかわからない。経済的に非常に苦しい状況で、安心して子育てできる形を作っていきたい」と説明。無償化により、「各家庭で1人当たり年間5万円程度の可処分所得が増える」と強調した。20年度はあくまで暫定措置とし、所得制限など21年度以降の制度設計は、今後議論するという。

 市教委によると、小学校287校と中学校128校で給食を実施。保護者の負担は食材費のみで、計約77億円になる。1人当たりの給食費は小学校が年間約4万4000円、中学校が年間約5万円。完全無償化の場合、就学援助分などを除く約60億円が新たに市の負担になり、財政調整基金を取り崩して対応する。【野田樹】

毎日新聞2020年3月17日 20時10分(最終更新 3月17日 20時10分)
https://mainichi.jp/articles/20200317/k00/00m/040/228000c