https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200317-00000001-ykf-int
 ■ノンフィクション作家・河添恵子氏が緊急寄稿

 中国発の新型コロナウイルスの感染拡大が、世界の脅威となっている。世界全体で感染者は15万人を超え、死者は6000人を上回った(共同通信、15日集計)。中国の習近平国家主席は、被害が深刻な韓国とイタリア、イランの各首脳に「心からの見舞い」を伝える電報を送ったというが、初動対応の遅れは「人類に対する罪」ではないのか。中国当局による情報操作や隠蔽疑惑への不信感も高まっている。こうしたなか、中国人の超エリート教授が「ウイルスの起源」に迫った英文リポートが注目されている。2月に英文で発表されたが、すぐ削除されたのだ。中国当局の関与も疑われている。ノンフィクション作家の河添恵子氏が迫った。



 「習氏と私は、ウイルスがどこから来たのかを知っている」

 ドナルド・トランプ米大統領は13日、ホワイトハウスで国家非常事態を宣言した記者会見でこう語り、周囲の笑いを誘った。

 中国外務省の趙立堅報道官が前日、「米軍が(湖北省)武漢市に今回のウイルスを持ち込んだのかもしれない。米国はわれわれに説明すべきだ」とツイッターに書き込んだことへの、余裕のカウンターアタック(反撃)とみられる。

 中国の挑発的な“責任転換”発言に対しては、デービッド・スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が13日、中国の崔天凱駐米大使を国務省に呼びつけて、厳重に抗議した。

 共和党のジョシュア・ホーリー上院議員(ミズーリ州)も、「中国外務省の道化師が、ツイッターに『露骨なウソ』を書き込んだので、それに反論したところ、私をブロックしたことを喜んでお伝えする」とツイッターで発信したことも話題になった。

 WHO(世界保健機関)がようやく、新型コロナウイルスの感染拡大を「パンデミック(世界的大流行)」と認めたことで、中国や習政権に対する風当たりが強まっている。

 また、世界の科学者や専門家が少なからず、「天然ではなく人工の可能性」を示唆していることもあるのか、中国側は白々しく「米国が拡散した」「日本ウイルス」「イタリアウイルス」などと表現するなど、明らかにウイルスの“脱中国化”を進めようとしている。

 これに対し、マイク・ポンペオ米国務長官は、以前から新型コロナウイルスを意図的に「武漢ウイルス」と呼ぶなど、中国の情報操作を許さず、「中国・武漢が発生源だ」と断言し続けてきた。

 こうしたなか、カギを握る、あるリポートが注目されている。

 科学者向けのグローバル情報共有プラットフォーム「リサーチゲート」に2月6日、中国の理系トップクラスの国立大学、華南理工大学(広東省広州市)の肖波涛教授と、武漢科技大学附属天佑医院に在籍し、科学調査も行う人物との連名で発表された「2019−nCoVコロナウイルスの可能な起源」という英文リポートだ。

 肖氏は、生理学・生物物理や、医薬生物学、生物データ学、生化・分子生物学、微生物学が専門で、2011年から13年まで米ハーバード大学医学部ボストン小児病院に籍を置き、帰国後、17年まで武漢市の華中科技大学物理学院生物物理所の教授と副所長だった。

 ■「武漢市疾病予防管理センターが協和病院に隣接している」の記述


(略)