https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200317-00010004-newsweek-int
<新型コロナウイルスに対する備えが最も脆弱なのは、これから感染拡大を迎えるアメリカかもしれない。医療崩壊が迫っているとの訴えにも、トランプはやる気なし>
米ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は3月16日、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)により、
アメリカで「医療崩壊」が起こる可能性があると警告した。
ウイルスの感染拡大で「大惨事が迫っている」可能性があり、この問題を緩和するための「対策強化」を連邦政府に求めた。

ニューヨークは州も市もすでに非常事態を宣言し、ニューヨーク市ではすべての学校、レストラン、バー、クラブに閉鎖命令が出されている。
3月16日朝にCNNのインタビューに応えたクオモは、アメリカの医療システムは、新型コロナウイルスを迎え撃つには圧倒的に力不足だと訴えた。
裕福なニューヨーク州でさえ、集中治療室もベッドも病院そのものが足りない、今後数週間で新たな病院を建設するリソースもない。
今ある病院に、詰め込めるだけベッドを詰め込むしかない、そんな状況だという。クオモは、アメリカ陸軍の工兵部隊の出動が必要だとも言っている。

「アメリカは新型コロナウイルスの対応で出遅れた」と、クオモは言う。
「中国で昨年11月に新型コロナウイルスが発生したことはわかっていたのに、今になって虚を突かれ、後手後手に回っている」

「新型コロナウイルスの脅威は、われわれの医療システムを圧倒している。医療崩壊が起きるだろう」と、クオモは述べた。
「連邦政府は取り組みを強化しなくてはならない」
「私たちの前には大惨事が迫っている。病院システムに感染拡大の津波が押し寄せれば、われわれは対処できない」

<検査キットが足りない?>
アメリカではニューヨーク州に限らず多くの州が非常事態を宣言している。
ドナルド・トランプ米大統領も3月13日に国家非常事態を宣言した。
だがアメリカは、いまだに新型ウイルスの検査キットも満足にそろえることができず、いったい感染者がどこにどのくらいいるかを把握するのにも程遠いありさまだ。

アメリカ全体でこれまでに感染が確認されたケースは約4500人だが、実際の感染者数はそれよりはるかに多いと専門家は見ている。
たとえばオハイオ州当局は3月12日、感染者数は同州だけでも10万人を超えるという見解を明らかにした。

トランプの新型ウイルス対応は、保健当局や科学者、民主党議員などからの激しい批判にさらされている。
問題の発生当初に「ウイルスなど民主党のデマだ」「こんなものはすぐに消えてなくなる」など、新型コロナウイルスの脅威を過少評価し、対策を取ろうとしなかったためだ。
クルーズ船「グランド・プリンセス」で感染者が出た際には、乗客をカリフォルニア州沖に停泊させた船内に引き留めて、アメリカでの感染者数が
実際よりも少なく見えるようにしたいと語っていた。

<州政府任せのトランプ>
しかしトランプは、前例のない現在の事態に、自分は立派に対処していると自画自賛。
3月15日にはツイッターで、各州ならびに地方当局に対し、取り組みを強化するよう呼びかけた。
「それぞれの州知事と自治体は、米疾病管理予防センター(CDC)ならびに連邦政府と手を結び、検査の数や検査所を増やせるようさらに努めなくてはならない!」

3月16日付けのニューヨーク・タイムズによると、トランプは新型ウイルスについての会合で州知事たちに対し、
「連邦政府をあてにするな」と言ったという(音声記録がある)。
「換気扇も人工呼吸器も他の機器も、自分たちでそろえることだ」