大手広告代理店「博報堂」(本社・東京)の九州支社で30年間、嘱託社員として働いていた福岡県内の女性が、労働契約法で定める無期雇用に転換する直前に雇い止めされたとして、同社に従業員としての地位確認などを求めた訴訟の判決が17日、福岡地裁であった。鈴木博裁判長は契約更新拒否について「合理的理由を欠く」とし、地位確認や雇い止めから判決確定日までの賃金と年2回の賞与の支払いを命じた。【宗岡敬介】

 2013年4月の改正労働契約法施行により、同月以降に結んだ有期労働契約が通算5年を超える労働者は、雇用主に対し無期雇用契約への転換を申し込む権利が得られるようになったが、実際は5年になる直前に雇い止めになる例が後を絶たない。労働者が「無期転換逃れ」だとして提訴するケースも相次いでおり、「大企業の論理」より労働者の権利を重視した今回の判決が与える影響は大きそうだ。

2020年3月18日 大阪朝刊
https://mainichi.jp/articles/20200318/ddn/041/040/004000c