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2020年3月18日 / 03:40 / 6時間前更新
アングル:イタリア最悪の医療危機、現場に「患者選別」の重圧

Emilio Parodi Silvia Aloisi Pamela Barbaglia

[ミラノ 16日 ロイター] - 死との戦いは、毎日午後1時にいったん休止する。ポリクリニコ・サン・ドナト病院の集中治療室(ICU)の医師たちは、新型コロナウイルスに感染した重症患者25人の親族に電話をかけ、最新の情報を伝える。


患者は全員、安静状態で、人工呼吸器を装着されている。

ミラノにあるこの病院では、これまではランチタイムは面会時間とされているのが常だった。だが今、イタリアが2000人以上の死者を出した新型コロナウイルスへの対策に奮闘するなか、見舞客はすべて断られている。もはやイタリアでは誰1人として家を出ようとしない。

電話をかける医師たちは、偽りの希望を与えまいとしている。新型コロナウイルス肺炎でICUに入った患者の2人に1人は死亡する可能性が高いことは分かっているからだ。

<励ましと「トリアージ」>

「COVID−19」の感染が広がり、重症者も増えるなかで、ICUのベッドはますます必要とされるようになっている。この病気では呼吸障害が生じる可能性があるだけに、なおさらだ。ベッドに空きが出るたびに、麻酔専門医2人が蘇生専門家・内科医と協議のうえ、次に誰を入れるかを決定する。

重要なファクターになるのは年齢と基礎疾患だ。家族がいるかどうかも大きい。

「高齢の患者の場合、ICUから出た後、面倒を見てくれる家族がいるかどうかを考慮する。支援が必要だからだ」と語るのは、ポリクリニコ・サン・ドナト病院のマルコ・レスタICU副室長。

レスタ氏によれば、たとえ回復の見込みがない場合でも「患者に向かって『大丈夫ですよ』と言わなければならない。そういう嘘をついていると自分が壊れていく」

第2次世界大戦以来、最悪の医療危機を迎えたイタリアでは、医師や患者、その家族たちが、元軍医のレスタ氏に言わせれば「戦地でも経験したことがない」という決断を迫られている。イタリアでは16日現在、新型コロナウイルスの感染者が27980人、死者は2158人に達した。報告された件数としては、世界では中国に次いで2番目に多い。
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