千葉県野田市立小4年の栗原心愛さん(当時10)が2019年1月に死亡した虐待事件で、一家が17年7月まで暮らした沖縄県糸満市の対応を検証する市要保護児童対策地域協議会(要対協)は24日までに、再発防止策を盛り込んだ最終報告書を上原昭市長に提出した。島袋裕美会長は取材に「虐待を断定できなくても、疑い事案として野田市に情報提供すべきだった」と述べた。

糸満市は17年7月、心愛さんの親族から、父勇一郎被告(42)=傷害致死罪などで懲役16年の一審判決=による心愛さんへのどう喝と、母(33)=傷害ほう助罪で執行猶予付き有罪判決確定=へのドメスティックバイオレンス(DV)の相談を受けた。

しかし、どう喝は事実確認ができなかったとして、DV情報だけを転居先の野田市に伝えた。島袋会長は上原市長との非公開の面会後、「相談から転出までの期間が短く、当事者の聞き取りなど情報を十分に収集できなかったが、虐待疑い事案として記録を引き継ぐべきだった」と指摘した。

報告書では部署間や、学校と児童相談所などとの連携強化や、部局横断の会議で支援策を決めることを糸満市に提言。記録を書面で残す重要性も指摘した。市は25日に市議会に説明した後、ホームページに掲載する。

糸満市は心愛さんの親族からの相談内容を沖縄県中央児相に伝え、勇一郎被告と家庭訪問を約束したが実現しなかった。

2020/3/24 13:13
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57147600U0A320C2CE0000/