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オリンピックさえ影響を逃れられなかった。世界を席巻している新型コロナウイルスの大流行によって、2020年東京五輪の延期が決まった。東京2020は2021年に開かれることになった

国際オリンピック委員会(IOC)は当初、延期を検討するための期間として4週間を確保していた。しかし、決定ははるかに前倒しして出された。日本の安倍晋三首相が24日夜、明らかにした後、組織委と国際オリンピック委員会(IOC)が共同声明で延期を発表したのだ。

イギリス・オリンピック委員会(BOA)はこの日、UKスポーツ(イギリスのスポーツ振興を目的とした政府系組織)、パフォーマンス・ディレクター、オリンピック選手団の代表らと緊急の電話会議を開く予定だった。延期を求めるものと見られていたし、不参加という選択肢もあり得た。

英オリンピック選手団委員会のベン・ホーズ会長はBBCスポーツに、選手たちの健康と幸せのためには延期が唯一の道だという「強力な観点」を示すと話していた。

いくつかの国のオリンピック委員会はすでに延期を求めていた。カナダとオーストラリアはさらに踏み込み、五輪が今年開催されるなら選手団を派遣しないと表明していた。

IOCのディック・パウンド委員は、米紙USAトゥデイに延期は「決まった」と述べ、2021年までとなる可能性が高いと発言。同時に、「いくつかの関連事項」が未解決だとし、「段階的にはっきりする」と話していた。

一方で、IOCと東京五輪の大会組織委員会はこれまで、オリンピック延期という複雑な問題を検討するには時間が必要だと訴えていた。

日本の安倍政権でアドバイザーを務める谷口智彦氏は23日、最終決定権はIOCにあるとBBCに話していた。

谷口氏は、問題の複雑さからすると「IOCは(延期の可能性という)シナリオを検討するのに数週間は必要だろうが、東京側が決めることではない」と述べていた。

しかし、4週間も待たなくてはならないことについて、女子陸上200メートル王者のディナ・アシャー=スミス氏(イギリス)ら選手たちから強い批判が出ていた。ホーズ会長もBBCスポーツに、現在のスケジュールは「確かに長過ぎると思える」と話していた。

我慢比べ?
事情をよく知る人たちによると、IOCと大会組織委員会のどちらが最初に折れるかの「我慢比べ」になっていた可能性がある。延期が決定されれば、経済的、法的な問題が想定されるからだ。

スポーツ問題を扱う弁護士の第一人者ジョン・メアザッド勅選弁護士は、誰が実質的に引き金を引くかは、訴訟の面から重要だと説明していた。引き金を引く者は誰であれ、開催都市契約に違反したとして訴えられる恐れがあるからだという。

「そうした取り決めを『取り消し』や『延期』する者は、相手方との間で合意がない限り、契約違反を犯したとされ、莫大な額の(何十億ドルもの)損害賠償を求められる危険がある」とメアザッド氏は述べた。

訴えられた側は、新型コロナウイルスの世界的流行は「不可抗力」(または「神のみわざ」)だと主張できるかもしれない。ただ、保険会社はそうした主張が成り立つなら五輪の開催は不可能だと言うだろうと、メアザッド氏は指摘する。

世界保健機関(WHO)は、五輪開催は不可能だとは言っていなかった。

IOCは、安全上の理由から五輪をキャンセルする契約上の権利をもっている。キャンセルした場合は、開催都市からいかなる損賠賠償の請求も受けない。

しかし、開催都市契約には延期についての規定がない。IOCは延期の最終決定を日本にゆだねたかったようだ。最終的には、安倍首相とバッハ会長の電話会談で日本側とIOCが合意した。

全文はソース元で
9時間前
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-52015040