https://www.news-postseven.com/uploads/2020/03/13/seven2012_P162_163-scaled-e1584095044979.jpg

近い将来、起きる可能性が高いといわれる「首都直下地震」。人類が未だ経験していない、大都市への地震直撃に向けて、しっかりと備えておく必要がある。あなたの家、親族の家、子供の学校、職場は、安全な地域にあるのか、それとも、特別な備えが必要な場所なのか──。

 今回は渋谷区・中野区・杉並区の詳細な「ハザードマップ」を作成した。

※参考/東京都建設局「東京の液状化予測図 平成24年度改訂版」、東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」、国土交通省国土地理院デジタル標高地形図、『首都大地震 揺れやすさマップ』(目黒公郎監修/旬報社)、『川の地図辞典 江戸・東京/23区編』(菅原健二著/之潮)

◆危険な住宅密集地こそ地域に目を向け協力体制を

 住宅密集地で、老朽化した木造家屋も多い中野、杉並エリアは「下町より危険」と指摘する専門家もいる。早稲田大学理工学術院教授の長谷見雄二さんはこう言う。

「住宅の密集レベルは、都内で最も危険だと指摘される下町と変わりません。台地のため、地盤条件(揺れやすさ)は下町より良好ですが、それが仇となって地震への危機意識が薄い。そのため、下町より甚大な被害が生じるのではないかという声もあります」

 ひとたび火災が起これば、八方塞がりになる恐れがある。少しでも被害を減らすため、避難ルートは複数見つけておかねばならない。武蔵野学院大学特任教授の島村英紀さんはこう指摘する。

「住宅が倒壊すると、逃げ道を塞いでしまいます。そのため、自宅の耐震補強をしっかり見直しておく。初期消火できるよう、消火器も準備する。いますぐできる大地震への備えはいくつもあります」

 関東大震災では、佐久間町(千代田区)の住民たちが協力して消火活動を行い、類焼を防いだという記録がある。さらに阪神・淡路大震災(1995年)では、近所の人々が倒壊した家屋から住人を救助し、一命を取り留めたということもあった。過去の災害から命を守るヒントを学ぶことが重要だ。

◆雨水が急流になって「渋谷駅」に流れ込む恐れ

 暗渠化した渋谷川上流と宇田川の合流地点である渋谷駅は、大雨のたび周囲の雨水が集まり、浸水していた。現在は治水工事が整い被害は少なくなったが、万が一、震災時に雨が降ったら流れ込む雨水に足を取られる危険がある。

◆西武の間を流れる旧・宇田川

旧・宇田川は、西武渋谷店のA館とB館の間の地下を流れている。そのため連絡通路は地下ではなく、空中に渡り廊下として造られた。渋谷区の旧河川沿いは、揺れに比較的強いと考えられるが、一部には水を含んだスポンジのように軟弱な「腐植土層」もあるので注意が必要だ。

◆中央線沿線は都内有数の危険地帯

 関東大震災(1923年)後、郊外を走る路線としていち早く開通したのが中央線だった。そのため、都市計画の整備前に住居が急増し、沿線は都内でも屈指の住宅密集地として火災や家屋倒壊の危険が指摘されている。

◆水害地名を表す「和田」

「和田」という地名は、川の湾曲を示す「輪田」が由来とされる。水害の危険を表しており、和田堀公園は善福寺川の氾濫を防ぐ「遊水池」として整備された。川沿いの湿地帯はかつて水田として使われていたが、現在では住宅や学校などが建ち並ぶ。

◆大きな被害が予想される神田川とその支流

 神田川と、その支流(善福寺川、妙正寺川)沿岸には「腐植土層」が多くあり極めて揺れやすい。また、高円寺から新宿へと続く大久保通りは旧・桃園川の谷筋の上を通っており、旧河川の上は激しい揺れが予想される。

2020.03.25 16:00  女性セブン
https://www.news-postseven.com/archives/20200325_1549083.html