JXTGホールディングスは26日、2020年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が3000億円の赤字(前期は3223億円の黒字)になりそうだと発表した。従来予想(1550億円の黒字)を4550億円下方修正した。赤字額は過去最大。原油価格の急落で原油の在庫評価損が拡大する。新型コロナウイルスの影響で石油製品の需要も減少し、販売マージン(利幅)も縮む。

新型コロナウイルスの感染拡大やサウジアラビアの大幅増産を受け、原油価格は歴史的な安値水準に低迷する。アジア市場の指標となる中東産ドバイ原油は、1バレル30ドル前後と年初に比べ約6割下落し、JXTGの想定レートの60ドルを大幅に下まわる。

売上高は前期比10%減の10兆500億円と、従来予想を3500億円引き下げた。営業損益は2100億円の赤字(前期は5370億円の黒字)に、4900億円下方修正した。

営業損益ベースでは、下方修正する4900億円のうちエネルギー事業が1950億円を占める。ガソリンの販売価格低下を受けて販売マージンが大幅縮小するほか、石油化学製品の採算が中国などで悪化している。新型コロナウイルスの影響で、航空や船舶関連の燃料需要が減少したことも響いた。

石油元売りは原油在庫を備蓄しており、原油安による在庫評価損が利益を1800億円押し下げる。このほか、中東や北米などで手掛ける石油・天然ガスの開発事業でも事業の収益計画を見直し、900億円の減損損失を計上する。

チリの銅鉱山なども価格下落で苦戦し、金属事業の利益は100億円引き下がる。

もっとも、投資の抑制などでフリーキャッシュフロー(純現金収支)は堅調に伸び、20年3月期を最終年度とする3年間の中期経営計画で掲げた合計8000億円は達成する見通し。年間配当は前期比1円増の22円で据え置いた。
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