【サンパウロ時事】ブラジルで新型コロナウイルス感染が急速に拡大する中、経済への影響を極力抑えようとするボルソナロ大統領が、自治体による商業施設閉鎖などの予防措置を「犯罪」呼ばわりし、猛反発を買っている。
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 ボルソナロ氏は、かねて経済の首を絞めかねない感染対策の強化には後ろ向きで、新型ウイルス対策は自治体が先行。サンパウロ州やリオデジャネイロ市は24日から飲食店や商店の一斉閉鎖に踏み切っている。
 しかし、ボルソナロ氏は同日夜のテレビ演説で「われわれは生き続けなければならない。雇用を守らねばならない。普段通りに戻らなければならない」と主張。「(感染が)危険なのは60代以上。なぜ学校を閉めなければならないのか」と疑問を呈した上で、新型ウイルスを「軽い風邪」と表現した。
 さらに、25日朝には記者団を前に「他のウイルスの方がはるかにたくさんの死者をもたらしたのに、今回のような騒動は起きなかった」と強調。「何人かの知事や市長が行っていることは犯罪だ。ブラジルを壊している」とボルテージを上げた。
 これに対し、サンパウロ州のドリア知事は「これは軽い風邪などではなく、非常に深刻な問題だ。既に46人の死者が出ているし、まだ(感染ペースが)ピークにさえ達していない」と反論。これまでボルソナロ派とされていたゴイアス州の知事も強い調子で大統領を非難した。
 27州・連邦区のうち25州の知事は25日、それぞれ実施している規制措置の継続を表明。メディアもボルソナロ氏批判を強めており、同氏の孤立が深まっている。

2020年03月27日07時23分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020032600719
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