【コロナショックが招く連鎖不況】

 新型コロナの影響で訪日客はガタ減りしている。中国人の“爆買い”で売り上げが急増し、業績を伸ばしてきた百貨店は大ピンチだ。

 2月の売上高(既存店)は、前年同月比でJ・フロントリテイリング(大丸と松坂屋)が21・4%減、三越伊勢丹ホールディングス(HD)が13・6%減、高島屋が11・7%減と2ケタ減に落ち込んだ。そごう・西武は6・5%減だった。

 3月はもっと悲惨だ。今週24日に日本百貨店協会が3月の見通しを公表した(17日時点の実績)。それによると、既存店ベースで前年同月比4割減。免税売上高は何と8割減に沈んだ。

「ここまで落ち込むとは正直驚きました。過去に経験のないほどの業績悪化を招くかもしれません。赤字に転落する百貨店も続出する危険性があります。業界再編の引き金になるかもしれません」(IMSアセットマネジメント代表の清水秀和氏)

 ただでさえ、地方百貨店の経営悪化は著しい。今年1月には創業320年の山形県の老舗百貨店「大沼」が倒産。山形県は全国初の「百貨店ゼロ県」(日本百貨店協会に加盟する会社が対象)と不名誉な記録をつくった。8月には「そごう徳島店」が閉店予定で、そうなると徳島県も百貨店ゼロとなる。

 東京商工リサーチが昨年10月に公表した「2018年度決算『全国主要百貨店』業績調査」によると、地場独立系(大手流通グループなどの傘下にない百貨店)35社のうち、約半数の17社が赤字だった。

「赤字百貨店のなかには、大手百貨店が救済の手を差し伸べれば生き残れるところもあるはずです。でも、今回のコロナ禍で大手にそんな体力はなくなっています。訪日客の売り上げに頼っていた地方百貨店は経営が立ち行かなくなるでしょう」(流通関係者)

 百貨店経営を揺るがすのは訪日客の激減だけではない。

「新型コロナの影響で夏のボーナスは増えないでしょう。春闘のベースアップも伸びなかったし、給与アップは期待薄です。企業経営者は賃金増より雇用維持に舵を切っています。消費者は、いま以上にぜいたく品を買わなくなります。デパ地下の高級総菜より、身近なスーパーのハンバーグや揚げ物を選ぶでしょう」(清水秀和氏)

■カギは高島屋か

 大手百貨店グループは4つ。再編の台風の目は独立路線を貫いている高島屋だといわれる。

「高島屋が三越伊勢丹と合流するという見方はあります。あるいは、カリスマ経営者が去ったことでグループに歪みが生じたと指摘されるセブン&アイHD傘下のそごう・西武との統合です」(大手百貨店関係者)

 深刻な売り上げ低迷が長期化したら、再編話は急浮上してくる。

3/27(金) 9:26配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200327-00000021-nkgendai-bus_all
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