テスラCEOのイーロン・マスク氏が、人工呼吸器メーカーMedtronicの製品をニューヨーク州にあるテスラの太陽電池工場で製造するとツイートしました。Medtronicのオマール・イシュラクCEOもCNBCに対し、テスラと協力することを認めました。テスラがニューヨーク州バッファローに設置している太陽電池工場、通称Giga New Yorkは今週、新型コロナウイルスの影響で操業を停止していました。

しかしマスクCEOはMedtronicの人工呼吸器製造のために工場の一部に改装を施し、「ニューヨーク市民のため」「可能な限り早く生産を始める」としています。マスクCEOは先週、必要ならば人工呼吸器をテスラで生産すると発言し、これにニューヨーク市長のビル・デブラシオ氏が生産されればそれを購入するとの意思を示していました

MedtronicのイシュラクCEOは「われわれは(人工呼吸器の生産に)名乗りを上げてきたいくつかのパートナーとの関係をオープンにしている」と述べ、その中のひとつとして「(テスラにより)われわれの人工呼吸器のひとつが生産されることになる。彼らはそのための準備を急速に行っている」としました。

テスラが製造しようとしているのはMedtronicの主力製品とは異なるものの、現状求められている条件に適したものになるとのこと。必要なら人工呼吸器を作るとは言ったものの、医療機器のノウハウを持たない自動車会社がイチから人工呼吸器を作ろうと思えば、いくらFDAが規制を緩和しているとはいえ、必要な信頼性や耐久性を確保するためには、それ相当の時間や必要な承認などの手間がかかります。その点、すでに実績ある医療機器メーカーの人工呼吸器のライセンス生産なら、設備と資材さえあればすぐに生産を開始できるメリットがあります。

米国ではここ数日で急激に新型コロナウイルス感染者が増加し、特にニューヨーク州では人工呼吸器が不足し、動物用の人工呼吸器まで人に転用する事態とも伝えられています(基本的な構造などは同じなので消毒と少々の変更で使用可能)。26日にはテスラの従業員からも2人のCOVID-19陽性患者が発見されたとCNBCが報じました。

人工呼吸器に動き出したのテスラだけでなく、自動車メーカーだけでもGMがやはり人工呼吸器メーカーのVentecと、そしてフォードはGEヘルスケアや3Mとともに人工呼吸器の生産量拡大にのりだしています。

日本では、東京都で3月25日に小池都知事が急激な感染者の増加を明らかにし、国内での急激な感染者数増加の予測の声も上がり始めています。米国のように人工呼吸器が不足する事態にならないように備えておく必要が、もしかしたら出てきたりしないかと心配な情勢です。

3月27日
https://japanese.engadget.com/jp-2020-03-27-ny-medtronic.html