羽田空港の国際線を増便するため、新たな飛行ルートの運用が始まり、3日午後3時すぎ、旅客機が初めて新宿や渋谷などの都心の上空を飛行しました。

羽田空港では、都心上空を通過する新たな飛行ルートで国際線の発着枠をおよそ1.7倍拡大し、これによって1日当たり50便増えることになっています。

都心の上空を通過するのは、南風が吹いた時の午後3時から夜7時にかけてで、想定される高度は、新宿で900m以上、渋谷で750m以上、品川で450m以上などとなっています。

3日は、先月29日に運用が始まって以降、初めて南風の条件となり、午後3時すぎに旅客機が新宿や渋谷などの都心上空を飛行しました。

その後、午後6時前まで旅客機が相次いで都心上空を通過し、国土交通省によりますと、3日の飛行でトラブルはなかったということです。

新ルートをめぐっては、旅客機の騒音や機体からの部品落下などへの懸念から、反対する住民グループがルートの撤回を求めています。

新ルートとは
これまで羽田に着陸する飛行機は、基本的に東京湾側から進入し、離陸機も海上に向かって上昇するなど、都心への影響をできるだけ避ける形で運用されてきました。

しかし、この方法では発着回数を大きく増やすことはできませんでした。

羽田空港の滑走路は、着陸と離陸のルートが交差していて、接近を避けるため時間のロスが生じていました。

しかし都心上空側から着陸することで、離着陸で同じ滑走路を使うことができるようになり、発着回数を増やすことができるようになりました。

新たに設けられたルートは主に2本ありますが、都心上空を通過するルートは南風が吹いた時に到着機が使用します。

想定される旅客機の高度は、新宿がおよそ900メートル以上、渋谷がおよそ750メートル以上、品川がおよそ450メートル以上などとなっています。

運用時間帯は国際線の発着が集中する午後3時から午後7時までの間で、管制の切り替えなどを除くと、実質3時間程度になるということです。
騒音や落下物は
国土交通省によりますと、ことし2月までに行われた旅客機による飛行確認の騒音の測定では、いずれも最大で、新宿区で78デシベル、渋谷区で79デシベル、大井町駅周辺で81デシベルを計測したということです。

これは掃除機の音や、車が往来する幹線道路の脇、それに騒々しい街頭に相当するということで、国土交通省は「おおむね想定通りだった」としたうえで、引き続き必要な対策を進めていくということです。

もう一つ気になるのが航空機からの落下物です。

3年前、成田空港を発着した全日空機から重さ3キロほどのパネルが2度にわたって落下したほか、関西空港を離陸したオランダの航空機から重さ、およそ4キロのパネルが大阪市の中心部に落下し、走行中の乗用車に衝突しました。

国土交通省によりますと、飛行後の点検で、航空機から部品が無くなっていることが確認されたケースは、平成30年度の1年間で合わせて489件に上ります。

このうち重さが1キロ以上の物だけで8件ありました。

落下物の多くは、人がいない海などに落下したとみられますが、成田空港の周辺では落下したバネや機体からはがれた氷の塊などで、農業用ハウスや屋根瓦が壊れるなどの被害が平成30年度までの10年間で23件確認されています。

こうした状況をうけて、これまで外国の航空会社については落下物の報告義務はありませんでしたが、3年前の11月から国際線が多く就航する羽田を含む7つの空港については、すべての航空機に対して部品の脱落を報告するよう求めました。

また、航空会社に対して落下物の防止対策を求めるとともに、国による機体の抜き打ち検査を強化するほか、違反がある場合には航空会社への処分を行うことにしています。

国土交通省航空局は「住民の不安を払拭(ふっしょく)できるよう、騒音や落下物の対策に最大限、取り組んでいく」と話しています。

2020年4月3日 20時24分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200403/k10012367331000.html
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